研究課題/領域番号 |
24655079
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平尾 俊一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90116088)
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研究分担者 |
雨夜 徹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397615)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ピナコールカップリング / 二核錯体 / 反応場 |
研究概要 |
クロスピナコールカップリング反応の錯体触媒による制御を行うためには、配位子の空間的なデザインが重要である。そこで、異なる反応性および立体的環境を持つ2つの金属が結合形成に適切な距離で配置された錯体触媒を考えた。具体的には、フラットで剛直性のあるヘキサアリールベンゼン骨格を土台分子とし、2つの異なるヘミサレン配位子がその面状に位置を固定されながらシスに導入された錯体触媒を設計した。 まず、このような配位子の合成に取り組んだ。1,2-ビス(2-メトキシフェニル)エチンのホルミル化を行った後、テトラフェニルシクロペンタジエノンとのDiels-Alder反応と続く脱一酸化炭素によりヘキサアリールベンゼン骨格を構築した。この時、メトキシ基の向きがシスおよびトランスの両方の化合物が混合物として得られた。目的とするシス体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。トランス体をアニソール中で150℃で加熱することにより、一部シス体への異性化が進行した。この混合物を再度精製することによりシス体を得ることができた。なお、構造決定は、メトキシ基を一つだけ脱保護し、2次元NOESY測定により行った。反応のスケールアップも達成し、グラムスケール合成も可能になった。得られたジアルデヒドとアミノフェノールの縮合によりヘミサレン部位の導入された配位子を合成した。 次に、VO(OiPr)3との錯形成を検討した。1H-NMRにより錯形成を追跡したところ、望む2核錯体の生成が示唆された。2つのヘミサレン部位の環境が異なる非対称な2核錯体も合成した。MALDI-TOF MASS分析もこのような2核錯体の生成を支持している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、クロスピナコールカップリング反応のための触媒として設計された異なる反応性および立体的環境を持つ2つの金属が結合形成に適切な距離で配置された錯体触媒の配位子合成と錯形成を目指して研究に取り組んだ。 結果として、1)ヘキサアリールベンゼン骨格上に2つの異なるヘミサレン部位を持つ配位子の合成ルートを確立でき、さらにグラムスケール合成も可能にした。2)バナジウム(V)との錯形成を検討し、2核錯体の生成を明らかにした。 以上より、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
合成したヘキサアリールベンゼン骨格を土台分子とする異種2核ジヘミサレン錯体触媒を用いて、クロスピナコールカップリング反応の検討を行う。金属種によるアルデヒドの活性化能の違いを調査するために、錯形成させる遷移金属を検討する。まずは、チタンあるいはバナジウムの組み合わせから、アリールアルデヒドとアルキルアルデヒドのクロスピナコールカップリング反応を検討する。次に、配位子上の種々の置換基を変化させる。触媒化の検討も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、有機合成用の試薬やガラス器具をはじめとする物品費に充てる。国内の関係するシンポジウムに参加し成果発表を行う。そのための旅費および参加費に使用する。
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