研究課題/領域番号 |
24655079
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平尾 俊一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90116088)
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研究分担者 |
雨夜 徹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397615)
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キーワード | ピナコールカップリング / 2核錯体 / 反応場 / バナジウム / チタン |
研究概要 |
クロスピナコールカップリング反応の錯体触媒による制御を行うためには、配位子の空間的なデザインが重要である。そこで、異なる反応性および立体的環境を持つ2つの金属が結合形成に適切な距離で配置された錯体触媒をデザインした。具体的には、フラットで剛直性 のあるヘキサアリールベンゼン骨格を土台分子とし、2つの異なるヘミサレン配位子がその面状に位置を固定されながらシスに導入された錯体触媒を設計した。昨年度この指針に基づく、2核バナジウム錯体の合成を報告した。今年度は、異種金属(バナジウムおよびチタン)から成る2核錯体の合成に取り組んだ。また、得られた錯体触媒を用いてクロスピナコールカップリング反応を検討した。 ヘキサアリールベンゼン骨格を有するシス-ジアルデヒドに対し、まずモノヘミサレンを縮合により合成した後に、バナジウム(V)との錯形成を行った。その後、2つ目のヘミサレンを縮合により合成した後に、チタン(IV)との錯形成を行うことで、異種金属(バナジウムおよびチタン)から成る2核錯体を合成した。FABおよびMALDI-TOF MASS分析もこのような異種2核錯体の生成を支持している。 合成した異種金属(バナジウムおよびチタン)から成る2核錯体を触媒として用い、亜鉛とトリメチルクロロシランの存在下、脂肪族アルデヒドと芳香族アルデヒドのクロスピナコールカップリング反応を行った。その結果、対応する単核のヘミサレンバナジウム(V)錯体とヘミサレンチタン(IV)錯体を単に混合した実験に比べ、高い選択性でクロスピナコールカップリング反応が進行することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度合成法を確立したヘキサアリールベンゼン骨格上に2つの異なるヘミサレン部位を持つ配位子を用いた異種金属から成る錯体合成およびそのクロスピナコールカップリング反応の触媒としての応用を目指してに取り組んだ。 結果として、1)異種金属(バナジウムおよびチタン)から成る2核錯体の合成法を確立した。2)それを用いたクロスピナコールカップリング反応を検討し、その優位性を示す知見を得た。 以上より、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
錯体の分子設計に基づき、クロスピナコールカップリング反応の更なる収率や選択性の向上に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究が順調に進展したため、試薬やガラス器具をはじめとする消耗品代を抑えることができたため。 今年度は新たにより効率的なクロスピナコールカップリングシステムの開発に取り組む。そのための試薬やガラス器具をはじめとする消耗品代として使用する予定である。
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