研究課題/領域番号 |
24655080
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三浦 雅博 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20183626)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 合成化学 / イオン液体 / アルコール / 酸素酸化 |
研究概要 |
研究1年目の計画に従って、まず窒素上にポリフルオロアリール基が直接置換したイミダゾリウム塩の合成に着手した。従来法に従い、市販品として入手したペンタフルオロアニリンとグルタルアルデヒド誘導体との脱水縮合、つづくメチレンジカチオン等価体との反応により、イミダゾリウム環の構築を検討した。その結果、一段階目の縮合は進行するものの、ポリフルオロアリール基の高い電子求引性のためか二段階目の閉環反応が全く進行しなかった。種々条件検討を行ったが、目的生成物は確認できなかった。そこで、窒素上に一つメチレンリンカーを挟んで、ポリフルオロアリール基を導入することとした。市販品のペンタフルオロベンジルアルコールをトリフラート化した後、イミダゾールに対し段階的に反応させることで目的とするN,N-ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)イミダゾリウムトリフラートを得た。また、これとリチウム塩とのアニオン交換反応により、対応するヘキサフルオロホスファートとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをカウンターアニオンとして有するイミダゾリウム塩へと誘導した。しかし、これら三種の塩はすべて常温で固体であり、単独溶媒としての利用は困難であった。そのため、再びポリフルオロアリール基を直接導入するためにまず、ポリフルオロアレーンそのものの変換反応を開発することとした。検討の結果、直接的にアレニル基を導入する新規触媒反応の開発に成功した。導入したアレンを足掛かりとしたさらなる分子変換が可能なため、この反応は目的とする分子群合成に向けた有用なツールとして利用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したポリフルオロアリール基含有イミダゾリウム塩の合成に成功した。また、各種のカウンターアニオンを有する誘導体も合成し、その基礎的な物性を確認できた。また、目的とする化合物群を合成するための新規触媒反応を開発することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
合成したポリフルオロアリール基含有イミダゾリウム塩は常温で固体特性を示した。これは分子の対称性が高すぎるためであると考えられる。そこで、イミダゾール塩を単独で反応媒体として使用できるようにするため、イミダゾールに対するフルオロ側鎖導入の際に意図的に非対称化を施して融点を下げ、高効率アルコール変換反応場への応用を検討する。一方、合成したイミダゾリウム塩は電子欠損性のN-ヘテロサイクリックカルベン前駆体ともみなせるため、このフッ素の特異な性質を利用した有機触媒や遷移金属の配位子としての利用もあわせて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行のための物品費として薬品700千円、ガラス器具類、300千円、分析用品298千円を予定している。また研究発表のための国内旅費として200千円を見込んでいる。
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