本研究は、これまで検討されたことのない炭素鎖が配位平面の金属上空「すれすれ」を通って渡環構造を形成する「金属超接近」渡環型の金属錯体を創成し、d軌道近接で生起する新しい分子内C-H活性化の分子構造との関連を究明することを目的とした。2座配位子をアルキル基等でリンクした4座配位子が、平面4配位を形成する白金にtrans配位し、白金に近接した特定のリンカー水素がd軌道と構造特異的な分子内M-H相互作用を起こして安定化する新現象を明らかにした。d軌道に近接する渡環構造を有する錯体として、平面型および折れ曲がり型錯体を数多く合成し、その特異的な構造と分子内M-H相互作用に関する基礎的知見を得た。
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