研究概要 |
昨年度に引き続き、目的とするカルベン様活性種の創製について、ケイ素-ケイ素結合切断に続く、二酸化炭素の挿入、転位を経て形成されるという反応設計に基づいて検討した。 ケイ素-ケイ素結合の切断およびジシロキシカルベノイドの形成が可能な金属のスクリーニングを行った。その結果、予測したとおりに、Pd, Pt, Cuなどの金属がケイ素―ケイ素結合切断に適していることを見出した。これらの金属を中心に配位子も含めた検討を行ったところ、配位子としては、ケイ素の転位段階の生起のし易さとカルベン錯体が適しており、種々条件を精査したところ、昨年より効率が向上し、二酸化炭素を補足した化合物を得ることができた。 ジシランはできるだけ汎用性の高いものとして鎖状を使用したいが、ケイ素―ケイ素結合切断を司る金属種によって使い分けが必要となる。Pdを適用する場合は環状の歪んだジシラン、Ptの場合は鎖状ジシランが適していることが判明した。 カルベノイド錯体の単離に挑戦したが、かなり活性な錯体であり、その単離および結晶化には至らなかった。そこで、反応の系内で調製し、代表的なアルケンであるスチレンと反応させたところ、少量のシクロプロパン誘導体が生成していることを見出した。 二酸化炭素の状態について最適条件を調べた。その結果、常圧で目的の反応が進行することが分かったが、効率がよくなかったので、圧力をかけたところ、その効率は倍増した
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