本研究は、室温付近に融点をもつ高分子物質の物性ゆらぎを積極的に用いた確率的遅延素子の創製を目的とした。さらに、確率的遅延素子から構成される素子ネットワークが創発する集団協調動作を調べ、生体型センサおよび生体型情報処理プロセッサの実現のための基礎を材料科学の立場から追及した。低融点高分子物質として、これまで用途が限定的であった低融点バイオベースポリマーに着目し、エレクトロニクス用途開拓を図った。具体的には、確率的遅延素子の創製、素子ネットワークを用いた自発的内部状態の発生と、外部からの環境センサ信号入力による状態遷移や状態制御を試みた。
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