研究課題/領域番号 |
24655094
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉尾 正史 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60345098)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自己組織化 / 超分子化学 / 構造・機能材料 / ナノ材料 / 電子・電気材料 |
研究概要 |
本研究では、グラファイト結晶の酸素プラズマエッチングや化学修飾により、液晶性を発現するエラストマー材料を創製することを目的とし、エラストマーの伸縮による電荷輸送特性の制御を目指した。 ディスク状グラフェンの作製を行った。粘着テープを使用して高配向グラファイト結晶を剥離し、厚さ数10マイクロメートルとした。この薄膜の上にシリカ微粒子が懸濁したポリビニルアルコール水溶液をスピンコートし、シリカ微粒子からなるマスクを形成した。これに酸素プラズマを照射することにより、マスク部以外のグラファイト薄膜を分解除去し、グラファイト柱を形成することに世界で初めて成功した。これをN-メチルピロリドンなどの極性溶媒に浸漬し、超音波を照射することにより、グラファイト柱を剥離し、グラフェン溶液を調製することができた。作製したグラフェンの赤外吸収測定を行ったところカルボキシル基の存在が示唆された。そこで、このカルボキシル基を有するグラフェンと種々の脂肪族アミンとの縮合反応を試みた。アミド化反応は進行したが、アミド化グラフェンは不溶性であり、サーモトロピック液晶性は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度研究計画では、高配向グラファイトの酸素プラズマエッチングによる形状を制御したグラフェンを作製し、その化学修飾による液晶性発現を目標とした。計画に従って研究を遂行し、ディスク状グラフェンの作製および縮合剤を用いたグラフェンのアミド化に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
液晶性を発現するグラフェンの構築を目指し、グラフェンディスク径をより小さくするための新規マスク剤の開発およびアミノ基や水酸基を有するデンドリマー・デンドロン構造の化学修飾剤の設計・合成を行う。また、ナノ相分離構造形成を高めるために、イオン液体部位などの極性基を有する重合性液晶性分子とグラフェンとの複合化を行う。グラフェンが層状に積層したスメクチック液晶相や一次元にスタックしたカラムナー液晶相を発現させて、紫外線を照射することにより液晶構造を架橋することでエラストマーの作製を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度繰越の研究費および25年度に請求する研究費と合わせて、グラフェンエラストマーの構築に必要な試薬・ガラス器具および電荷輸送機能測定のための電流電圧測定装置の購入に物品費を充当する。また、学会等での研究成果発表および情報収集に旅費を充当する。
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