動的光散乱法 による豚硝子体のダイナミクスの検討から,硝子体ゲル中には速いモードと遅いモードの2つの拡散モードが観測された。硝子体ゲルはコラーゲンおよびヒアルロナンからなる複合ゲルであるため,DLSでは,それぞれのダイナミクスがカップリングしたモードを観測することになる。そこで構造モデルとしてコラーゲン繊維の形成するネットワーク中をヒアルロナンが充填しているモデルを考え,コラーゲンの動きがヒアルロナンのダイナミクスとカップリングしていることを記述する理論を構築した。理論は,実験結果を良く再現し,硝子体中のコラーゲンの協同拡散係数が,水中での拡散係数に非常に近い値であることが明らかとなった。
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