研究課題/領域番号 |
24655107
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
幅上 茂樹 中部大学, 工学部, 教授 (30252266)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アスベスト / シリコーンポリマー / 酸分解 / シリル化 / シラノール |
研究概要 |
アスベストの無害化・有効利用法として、シリコーンポリマーへの変換法について、より高度な制御を達成することを目的として検討を行っている。本法の概要としては、温石綿を酸処理することにより、特異な繊維状シリカへと変換し、これを①アルカリ水溶液への溶解、②中和、③THFによる抽出、④シリル化剤によるシリル化を経て、シリコーンポリマーへと変換するものである。上記①~③のステップ、特にシリカの分解とシラノール基の縮合反応によるポリマー骨格形成段階の制御の可能性について検討を行った。 (1)シリカの分解過程で用いる塩基として、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム水溶液等を用い、反応温度を変化させて反応を行った。その結果、この分解過程については、反応温度や塩基の種類が非常に大きな影響を与えることが明らかとなり、現在のところ、NaOH、室温での反応が最も効果的であることが確認された。 (2)酸による中和過程について、様々なテンプレート分子の添加効果を検討した。テンプレートとしてジエチレングリコールやポリエチレングリコール(PEG)を始めとする水溶性ポリマーを添加して実験を行った。その結果、例えばPEGを共存させて反応を行うことにより、ポリマー収量の著しい向上と分子量の増大が観察され、効率よくポリマーが得られることが分かった。したがって、テンプレート分子の添加が効果的であることが明らかとなった。このことより、シラノール基がテンプレート上である程度制御されて縮合していること、過剰な縮合反応による不溶なシリカの生成が抑制されていることなどの可能性が示唆された。なお、詳細については、現在、さらに検討を行っている。 以上の結果の一部については、日本化学会第93春季年会(3PA-013)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究計画として、「様々な塩基の使用、およびテンプレートを導入した分解および縮合制御法について検討する」としている。したがってこの点については、おおむね計画に則した検討を実施したと言える。前述のように、塩基の種類は、非常に大きな影響を与えるものの、それによるより高度な制御の達成は、現時点では困難であると予想される結果である。一方、テンプレートの添加によるシラノール基の縮合反応制御については、より期待できる成果が得られた。すなわち、ポリエチレングリコールやポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)などの添加により、収率や分子量の著しい向上が観察された。したがって、こうした水溶性高分子の添加が効果的であり、これらの構造が及ぼす効果の詳細について、さらに検討を行うことにより、テンプレート構造の設計が可能となり、より高度な制御を実現できる可能性が期待できる。研究計画として、「反応メカニズム等の詳細について明らかにし、その結果をフィードバックし、より有効な分解および縮合反応制御に向けた反応条件等の最適化を図っていく」ともしており、現時点ではある程度の予測は可能であるが、詳細を明らかにするには至っていない。さらに、反応条件も含めて最適化していく必要もあり、以上の点については若干の遅れがある状況である。以上から、「やや遅れている」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究により、明らかになったテンプレートの効果について、検討を進める。まずは、テンプレートとして効果のあったポリエチレングリコールやポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)などの水溶性高分子の構造が、中和・シラノール基の縮合過程においてどのように影響を及ぼしているのかを、詳細に調べる必要がある。テンプレートの機能・メカニズムを明らかにすることができれば、より効果的なテンプレートの構造(テンプレート上の官能基の種類や配置、分子量など)設計が可能となり、添加量や反応温度の反応条件等も含めて、シリカのシリコーンポリマーへのより高度な変換技術の開発が可能となる。また、これまで中和・シラノール基の縮合過程において効果を検討してきたが、アルカリ分解過程についてもテンプレートの添加効果を検討していきたい。 シリコーンポリマーへの変換の制御がある程度可能になったということは、シラノール残基を有する従来にはない、ユニークな構造を有しているポリマーをある程度、制御して構築することが可能となったということであり、このような従来にはないポリマーの機能や性能等についても非常に興味が持たれるところである。したがって、この反応性の検討や応用についても同時に調べることにより、本法の有用性を高めるような方策をとっていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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