研究課題/領域番号 |
24655121
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コロイド・超微粒子 / 水素吸蔵 / パラジウム / 結晶構造 / 結晶面 |
研究概要 |
金属ナノ粒子は、水素吸蔵量、水素の吸蔵/放出温度の低減、生成水素化物の安定性等の観点から、次世代水素吸蔵材料として有望である。申請者は、単結晶正六面体Pdナノ粒子および多重双晶正二十面体Pdナノ粒子の水素吸蔵特性研究において、極めて特異な構造特異水素吸蔵特性を発見している。本研究では、単結晶正六面体、単結晶正八面体、多重双晶正二十面体、多結晶球状Pdナノ粒子の水素吸蔵特性を検討し、ナノ粒子の結晶性・露出結晶面・形状・粒径が水素吸蔵特性に及ぼす影響を明らかにする。また、in-situ中性子回折測定により、各Pdナノ粒子中における水素-水素相関を導出し、吸蔵機構を解明する。 本年度は、Pd黒および3種類の単結晶正六面体Pdナノ粒子(12、20、40 nm)の水素吸蔵特性について検討した。単結晶正六面体Pdナノ粒子は、ポリビニルピロリドン(PVP)を保護剤とし、Pd(II)イオンのポリオール還元により合成した。水素圧力組成等温線測定の結果、Pdナノ粒子の水素吸蔵量はPd黒と同等であるが、一旦吸蔵された水素原子はPdナノ粒子中で極めて安定に存在することが分かった。さらに、Pdナノ粒子の粒径の減少に伴い水素の放出圧力が低くなり、粒径が小さい方がより安定に水素を保持することが明らかになった。来年度は、水素化物生成のエントロピー変化およびエンタルビー変化を明らかにするとともに、多重双晶Pdナノ粒子ならびに単結晶八面体Pdナノ粒子との比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
{100}面のみに囲まれた単結晶正六面体Pdナノ粒子の特異的な水素吸蔵・放出特性を明らかにした。現在、単結晶正六面体Pdナノ粒子と比較し、結晶性と表面結晶面の異なる多重双晶Pdナノ粒子ならびに単結晶性八面体Pdナノ粒子が合成できつつあり、来年度は水素吸蔵・放出特性の結晶性・結晶面依存性を明らかにできると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策:来年度は、単結晶正六面体Pdナノ粒子と比較し、結晶性と表面結晶面の異なる多重双晶Pdナノ粒子ならびに単結晶性八面体Pdナノ粒子の粒径制御を行い、水素吸蔵・放出特性の結晶性・結晶面依存性を明らかにするとともに、in-situ中性子回折測定により、各Pdナノ粒子中における水素-水素相関を導出し、水素吸蔵機構を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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