研究課題/領域番号 |
24655124
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤内 謙光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346184)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光スイッチング / 結晶工学 / フォトクロミック / 有機塩 / 超分子複合体 |
研究概要 |
本研究は、光二量化・開裂反応部位(フォトクロミック部位)と光機能部位の2つのコンポーネントからなる共結晶を酸塩基反応で作成し、短波長の紫外線照射による光二量化・開裂反応に伴う立体構造変化を共結晶全体の分子集合の変化へと転写することによって、光機能団の集合様式をダイナミックに変化させ、光物性の可逆制御へと導く新規光スイッチング材料の創製を目的としている。フォトクロミック部位と光機能部位の吸収波長は大きく異なり、フォトクロミズムの制御光と発光や屈折の読出し光を切り離すことができることから、光物性を安定に相互変調することが可能となる。さらに、次世代の光量子コンピュータに欠かせない光トランジスタを指向した、スイッチングデバイスに挑戦する。いかに本年度の成果を列挙する。 ①発光性および高い非線形感受率をもつ多環式芳香族化合物に酸性基を導入した機能団分子を合成した。アミノ基を有した各種チミン誘導体の合成を行った。有機塩では様々な立体的、電子的特長をもった超分子複合体を作成可能であるため、得られた機能団分子と種々のアミンと組み合わせ複合体物質を作成した。 ②作成した有機塩を様々な有機溶媒から結晶化させ、得られた結晶中における超分子構造の化学的性質を紫外可視分光法、赤外分光法、固体核磁気共鳴分析によって明らかとした。 ③良好な結晶を作成し、単結晶X線構造解析により超分子集合を明らかにした。これにより、反応性の高い分子集合を探索し、その作用機序を明らかにした。 ④単結晶を用い、発光波長、発光強度、発光寿命などの光学特性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度から目的としていたフォトクロミック分子を導入した有機塩を作成し、それを用いた多孔質結晶を構築することができたことから、おおむね研究は順調に進展していると考えている。本手法ではさらに様々な物質群への応用が可能なことから、今後の展開に期待ができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られた多孔性物質の光電的機能開発を行い、光刺激による機能変換の機序を明らかにしていく。また、様々な単式芳香族スルホン酸およびフォトクロミック部位を有するアミンの合成を行い、それらを組み合わせることによって網羅的に物質を作成する。それらをスクリーニングすることで、機能性、刺激応答性、耐久性を向上させた化学物質を創生する。
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次年度の研究費の使用計画 |
チミン誘導体以外で取り組んだフォトクロック化合物の合成段階において、新規合成経路および高収率化への試行錯誤があり、様々な物質への展開に遅滞が生じた。今後は、既存の合成プロセスを組み合わせることにより、効率化を図る。繰り越し分に関しては新規物質の合成に組み込む。
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