ミリ秒単位の遅い磁化緩和現象を示す常磁性の希土類金属金属錯体に(希土類単分子磁石)において磁化が反転するメカニズムの解明を、非弾性散乱法により試みた。核スピンを持つ中性子を用いた分子磁性体の磁気特性解明の研究はまだ稀で、適応可能な試料についての条件も厳しい。本研究では、1)特性の優れた希土類単分子磁石の分子設計と合成、2)非弾性中性子散乱測定に向けた重水素化試料(C40D39N8O11S2Zn2Ln、D化率98%以上)の合成、3)J-PARCの中性子ラインAMATERASにおける中性子散乱実験、を行った。散乱結果については現在も解析が進行中である。
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