研究課題
黒鉛の1層であるグラフェンは金属的ふるまいを示すが,有限幅のリボン状物質であるグラフェンナノリボンは,シリコンを凌駕する電気特性が期待される次世代の半導体材料である.トップダウン的なグラフェンのナノ加工では細線幅は数十nmを下回ることは困難であり,分子細線幅のグラフェンナノリボンを均質な材料として量産するには,有機分子原料から重合するボトムアップ手法による大量合成手法の開拓が切望されている.グラフェンナノリボンの特性は細線幅と構成する六角形格子の方位によっても変化する(カーボンナノチューブと同様にカイラリティと呼称).グラフェンナノリボンの成長軸と炭素の六角形格子の角度を変化させるための分子設計の指針として,本研究課題では1) 2種のモノマー単位を組み合わせ,および2) 単一モノマーの成長方向と六角形格子が直交しない分子設計を提案する.グラフェンナノリボンのモノマー材料の化学合成,連結・架橋プロセスを,モデル分子を用いて検討を行い,キラルグラフェンナノリボンのボトムアップ合成の基礎技術の確立を目指す.平成25年度は,1種のモノマー単位でキラルグラフェンナノリボンの構成単位となるジベンゾ[g,p]クリセン誘導体を設計した.カップリング反応や熱解離によるラジカル重合に適した材料として臭素化ジベンゾ[g,p]クリセンの合成を行った.キラルグラフェン部分構造分子の連結・共役系拡張について検討を継続して行っている.グラフェンやカーボンナノチューブなどのナノ炭素材料の構造欠陥として部分的に五員環・七員環が含まれることが知られている.五員環・七員環が辺を共有するアズレン骨格に着目し,アズレンを組み込んだ新規多環式芳香族炭化水素の合成を行った.従来知られていなかった芳香族炭化水素の可溶化原理の可能性を示すT字型炭化水素分子の合成に成功した.
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