研究課題
現在人類が直面しているエネルギー・環境問題を解決に導くため、太陽光エネルギーを貯蔵可能な化学エネルギーに変換する人工光合成技術が注目されている。中でも、水の完全分解・二酸化炭素還元・窒素還元固定は人工光合成分野における三大ターゲットであり、燃料電池との組み合わせにより、環境調和型物質循環システムの創成が期待されている。本研究では、人工光合成を“光と水の化学”と捉え、太陽光を駆動力とした水が関わる物質変換を自在に操る手法の開拓を目指した。触媒開発の対象として金属錯体、反応場として錯体界面集積体を利用を試みた。具体的には、両親媒性脂質分子を用いて、酸素発生触媒として機能することが知られている金属錯体をリポソーム界面に集積化し、その酸素発生触媒作用を調査した。その結果、錯体触媒に導入した官能基の種類(極性や鎖長など)に応じて、酸素発生触媒挙動が変化することがわかり、リポソーム界面に最適な酸素発生触媒の必要条件を得ることに成功した。また、電極界面への錯体集積も試みた。合理的な集積のため、分子間に有効な非共有結合性相互作用が働く金属錯体モジュールを合成し、その界面集積の可能性を検討した。その結果、非共有結合性相互作用として多点アレーン―パーフルオロアレーン相互作用を用いたところ、金属錯体を目的通りに二次元配列させることに成功した。また、その非共有結合サイトに発光性有機色素を導入した金属錯体の合成も試みた。
すべて 2015 2014
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