研究課題
酢酸イオンからなる非プロトン性イミダゾリウム系イオン液体がCO2を化学的に吸収することが提案され、申請者らは、Kolbe-Schmitt反応や類似の挿入反応は、CO2の化学反応としてよく知られているものの、金属イオンが存在しない溶液でCO2がありふれた酢酸イオンと化学反応することは学術的に大変興味深い。本研究は、① CO2-酢酸イオン化合物の単離・同定、② CO2との反応性における塩基性の効果、ならびに、③ CO2との反応性における溶媒効果、について基礎科学の立場から調査し、化学反応による新規CO2吸収剤の開発や有用化合物への物質変換に資するCO2の化学反応性を明らかにすることを目的として研究を行なった。今年度は、研究最終年度であり、① CO2-酢酸イオン化合物の単離・同定を試みたものの、CO2と酢酸イオから生じる化合物の単離には至らなかった。一方、イミダゾリウム用意音とCO2の化学反応で生じるイミダゾールー2-イリデンの単離・同定に成功した。また、CO2との反応性における塩基性の効果として、酢酸イオンとCO2の化学反応により生じる化合物のab initio分子軌道計算を行い、従来知られていない化合物が、気相中では安定構造を与えないものの、アセトニトリル程度の極性溶媒中で安定な構造を与えることを見出した。さらに、種々のイミダゾリウムとそのイミダゾールー2-イリデンの気相酸性度をab initio分子軌道計算により評価した。加えて、③ CO2との反応性における溶媒効果について、プロトン性イミダゾリウム系酢酸イオン液体について、CO2吸収特性とRamanスペクトル測定を行なったところ、酢酸イミダゾリウムでは、非プロトン性イミダゾリウムに比べ、CO2吸収量が低下することを明らかにした。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 3件)
分析化学
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