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2012 年度 実施状況報告書

フェノールの環境調和型直接合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24655144
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

田嶋 稔樹  芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50361770)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード有機工業化学 / グリーンケミストリー
研究概要

フェノールは樹脂原料として工業的に必要不可欠であり、さらに医農薬、抗酸化剤、染料など、多くの分野で利用される最も重要な工業原料の1つである。現在、フェノールはベンゼンを原料とするクメン法によってその多くが製造されている。しかしながらクメン法は、①多段階(3段階)反応、②過酸化物中間体を経由、③濃硫酸の使用、④低収率、⑤低エネルギー効率、⑥アセトンの副生など、環境調和型プロセスを指向する上で多くの課題を有している。これに対し、本研究では水中または水存在下におけるベンゼンの電解酸化によって“一旦”生成するフェノールをその場で分離する手法を開発し、ベンゼンと水から直接フェノールを合成することを目的とした。本目的を達成するために、平成24年度は以下の検討を行った。
①フェノールと固体塩基の酸塩基反応に基づくフェノールの電気二重層からの分離
フェノールと固体塩基であるシリカゲルに固定化した1,3,5-triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene(Si-TBD)の酸塩基反応について検討を行った。その結果、アセトニトリル(MeCN)を溶媒とした場合には酸塩基反応によりフェノールをSi-TBDに固定化することで、フェノールをMeCNから分離可能であることを明らかにした。しかしながら、水を溶媒とした場合にはフェノールを分離することは困難であった。
②親水性水酸基を有するフェノールと疎水性PTFEの反発作用に基づくフェノールの電気二重層からの分離
親水性水酸基を有するフェノールと疎水性PTFE間に反発作用が働くこと(原理的妥当性)を検証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度当初の計画は、①フェノールと固体塩基の酸塩基反応に基づくフェノールの電気二重層からの分離と②親水性水酸基を有するフェノールと疎水性PTFEの反発作用に基づくフェノールの電気二重層からの分離について検討を行うことであった。これに対し、①については原理的に困難であること、②については原理的妥当性が見出せたことから、おおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

ベンゼンとフェノールの水への溶解度はそれぞれ1.8 g/Lと83 g/Lである。これらの水への溶解度の大きな違いはフェノールの親水性水酸基に由来する。そこで、ベンゼンの電解酸化により生成するフェノールの再酸化を防ぐため、陽極近傍に疎水性のPTFEファイバーを配置することで、“一旦”生成した親水性水酸基を有するフェノールを疎水性PTFEファイバーとの反発作用により、陽極表面に形成される「電気二重層」から分離する手法を開発する予定である。なお、親水性水酸基を有するフェノールと疎水性PTFE間に反発作用が働くこと(原理的妥当性)は平成24年度に検証済みである。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額(B-A)は4,559円と極めて小額である。従って、次年度に請求する研究費の物品費と合算し、研究に必要な試薬を購入する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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