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2012 年度 実施状況報告書

蛋白質を用いた修飾tRNAの調製法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24655145
研究機関北海道大学

研究代表者

田中 良和  北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 准教授 (20374225)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードtRNA / 結晶
研究概要

本研究では,大腸菌体内で構成させたtRNA-蛋白質複合体を用いて,目的の成熟tRNAを簡便かつ高純度に調製する系を構築することを目指す.今年度は,大腸菌由来tRNA(Met)アセチルトランスフェラーゼ(E.coli TmcA)を用いて,大腸菌体内からtRNA(Met)を調製する系を確立した.野生型E.coli TmcAよりもtRNAとのアフィニティーの高いK205変異体を取得し,これを大腸菌BL21(DE3)に大量発現させた.菌体内可溶性画分から,E.coli TmcA K205A変異体の末端に付加したHis Tagを用いて,tRNA-蛋白質複合体をアフィニティー精製し,さらに,ゲル濾過等により高純度に精製した.これに,塩を加える事でtRNAとE.coli TmcAを解離させ,tRNAのみを得る事ができた.塩基の修飾によりtRNAの構造の違いについての知見を得るために,得られたtRNAの結晶構造解析を試みた.結晶化スクリーニングの結果,リチウムイオンおよびPEG6000を含む結晶化条件下で調製したtRNAの結晶を得る事ができた.さらに,大型放射光施設にてX線回折実験を行い,6A 程度の分解能の回折を確認した.さらに,修飾による構造変化を議論するために,in vitro転写により,修飾のないtRNA(Met)も調製し,その結晶も作製した.大型放射光施設にてX線回折実験を行い,分解能3.2 A の回折データを得る事ができた.得られた結晶の結晶学的パラメータは,P2(1)2(1)2(1) a = 64.8 A, b = 85.6 A, c=94.2 A であった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,あらゆるtRNAを大腸菌体内から調製する系を確立すること,および,得られたtRNAの分子特性を評価する事を目的としている.今年度は,tRNA(Met)に焦点を当て,調製系の構築,X線結晶構造解析により分子特性の評価の系を構築することができた.中でも,野生型よりも高いアフィニティーを持つ変異体を用いる事の有用性を示すことができた点は,大きな成果と考えている.また,大腸菌から精製したtRNAは修飾が均一ではなく,良好な結晶は得られないのではないかという可能性を危惧していたが,結晶を得ることができるということを示せた点も,今年度の大きな成果と言える.今年度は,多種のtRNAへと展開する事ができてはいないが,これらの知見を生かし,次年度以降により広汎なtRNAへと応用したい.

今後の研究の推進方策

平成24年度に構築した,tRNA調製および得られたtRNAの評価の系を,種々のtRNAへと展開する.アミノアシルtRNA合成酵素,tRNA修飾酵素を中心に,E.coli TmcAと同様の手法を用いて大腸菌発現系の構築・結合活性の高い変異体の取得および分子特性の評価を行う.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に,試薬や実験器具類の購入について検討して節約を行った結果,1,620,000円の使用残高が生じたが,これを平成25年度に実施予定であるtRNA精製系構築のための消耗品費購入にに充てる.また,本年度,蛋白質精製用の消耗品費として使用した7,717円(本年度内に納品完了済)の支払いが,次年度以降となった.
平成25年度の研究費のうち,遺伝子実験用試薬,カラムなどの消耗品費に70万円,大型放射光施設での実験や学会等の旅費として30万円計上する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Crystal Structure of Enzyme CapF of Staphylococcus aureus Reveals a Unique Architecture Composed of Two Functional Domains.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyafusa T.
    • 雑誌名

      Biochem J.

      巻: 443 ページ: 671-680

    • DOI

      10.1042/BJ20112049.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of photoactive yellow protein as a photoresponsive module for controlling hemolytic activity of staphylococcal α-hemolysin.2012

    • 著者名/発表者名
      Ui, M.
    • 雑誌名

      Chem. Commun.

      巻: 48 ページ: 4737-4739

    • DOI

      10.1039/c2cc18118e.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] P19 embryonal carcinoma cells exhibit high sensitivity to botulinum type C and D/C mosaic neurotoxins.2012

    • 著者名/発表者名
      Tsukamoto, K.
    • 雑誌名

      Microbiol. and Immunol.

      巻: 56 ページ: 664-672

    • DOI

      10.1111/j.1348-0421.2012.00490.x.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The binding mechanism of eIF2{beta} with its partner proteins, eIF5 and eIF2B{epsilon}.2012

    • 著者名/発表者名
      Gai, Z.
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 423 ページ: 515-519

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2012.05.155. Epub 2012 Jun 5.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Crystal structure of a putative methyltransferase SAV1081 from Staphylococcus aureus.2012

    • 著者名/発表者名
      Kita, S.
    • 雑誌名

      Protein & Pept. Lett.

      巻: 20 ページ: 530-537

    • 査読あり
  • [備考] X線構造生物学研究室

    • URL

      http://altair.sci.hokudai.ac.jp/g6/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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