研究課題/領域番号 |
24655148
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田畠 健治 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任准教授 (80312263)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 微生物代謝 |
研究概要 |
コロニー温度および発熱量が培養温度により変化する微生物Pseudomonas putida TK1401株の浪費回路に関わるタンパク質および遺伝子群の同定を目的として関連タンパク質の解析を試みた。浪費回路に関わるタンパク質を同定するために、コロニー温度が上昇する浪費回路活性化時と、コロニー温度の上昇が観測されない非活性化時に発現量の変化するタンパク質を2次元電気泳動により比較した。その結果、浪費回路が活性化する条件において2種類のタンパク質の発現量の増加が観測された。そこで、これら浪費回路に関連性が示唆されたタンパク質のN末端アミノ酸配列を解析した。さらに、N末端アミノ酸配列からこれらタンパク質の遺伝子配列を決定した。 また、ランダム変異により発熱能を欠損した変異株のライブラリーを構築し、非発熱変異体のスクリーニングによる発熱関連遺伝子の探索も試みた。ランダム変異による遺伝子破壊は、トランスポゾンを用いた染色体遺伝子への薬剤耐性遺伝子の導入を検討した。しかし、他のPseudomonas 族細菌で利用可能なトランスポゾンを用いた遺伝子破壊用ベクターを、開発者から入手し、本研究に用いている微生物Pseudomonas putida TK1401株の遺伝子破壊に利用したが、トランスポゾンは導入できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画のうち、浪費回路に関わるタンパク質の同定に関しては、研究計画通りタンパク質発現量を比較することにより、該当すると考えられるタンパク質を明らかにすることができたことから、当初の計画がほぼ達成できたと考えられる。また、遺伝子破壊株の取得に関しては、第一候補であったトランスポゾンの利用はできなかったが、申請所に記載したように、今後は、化学変異による変異体に切り替えることから、当初の目的を達せするのに問題ないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
申請者が単離した浪費回路による発熱経路を有する微生物は、培養温度に依存して発熱量が変化する。このことから、本微生物の浪費回路の調節には、温度センサータンパク質、発熱に直接関与する発熱タンパク質および、温度センサータンパク質から発熱タンパク質へのシグナル伝達に関わる遺伝子群が関与すると予想される。そこで、25年度は、前年度の研究により明らかとなった発熱関連遺伝子及びタンパク質について①発熱タンパク質および温度センサーのキャラクタリゼーション、②発熱制御遺伝子の機能解析③浪費回路の制御によるバイオマス生産量のコントロールを行う。まず、発熱関連遺伝子のうち、発熱タンパク質および温度センサーであると予想されるタンパク質の大量発現を試みる。発現させたタンパク質の精製を行い、熱力学的性質および分光学的性質を明らかにする。また、浪費回路の調整には、温度センサータンパク質から発熱タンパク質へのシグナル伝達に関わる遺伝子が存在する。そこで、発熱関連遺伝子のうち、浪費回路の調節に関わると考えられる遺伝子については、発熱タンパク質のプロモーターを用いたレポーターアッセイを行うことにより、その調節機構を調べる。これらの研究成果を合わせることにより、浪費回路の制御機構が明らかになると期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の研究において予定していた遺伝子破壊株取得実験において、研究手法に変更があったため、次年度使用額(4,4041円)が発生した。次年度にいては、この研究を引き続き行い、当該研究費を使用する。 また、研究当初から計画していた発熱関連遺伝子及びタンパク質について①発熱タンパク質および温度センサーのキャラクタリゼーション、②発熱制御遺伝子の機能解析③浪費回路の制御によるバイオマス生産量のコントロールを行う。このために消耗品である化学試薬、生化学用試薬および培養用試薬の購入に(1250,000円)を使用することを計画している。 さらに、海外で開催される国際学会に参加して研究発表および研究資料収集を行うための出張旅費として150,000円を使用することを計画している。
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