研究課題/領域番号 |
24655148
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田畠 健治 東京工業大学, 生命理工学研究科, 東工大特別研究員 (80312263)
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キーワード | 微生物代謝 |
研究概要 |
コロニー温度および発熱量が培養温度により変化する微生物Pseudomonas putida TK141株の浪費回路に関わるタンパク質及び遺伝子群の解析を目的として、前年度において、異なる温度で培養した時のタンパク質の発現について二次元電気泳動を用いたデファレンシャルディスプレイにより調べた。その結果、2種類のタンパク質が本微生物の浪費回路に関与している可能性が示唆された。そこで、本年度は得られたN末端アミノ酸配列情報を基に、本タンパク質および、そのプロモーター領域の全塩基配列を試みた。その結果、目的のタンパク質および、プロモーター領域を含む塩基配列を決定することができた。 また、前年度は、研究計画において提案したトランスポゾンを用いた遺伝子破壊株の構築を試みた。しかし、P. putida TK141株に対して、他のPseudomonas族細菌で利用可能なトランスポゾンの導入はできなかった。そこで、本年度は、化学変異による変異体取得を試み、その性質を明らかにすることにした。化学変異には、メタンスルホン酸エチルを用いた。メタンスルホン酸エチル処理により得られた変異体ライブラリーに対し、異なる温度で培養した時のコロニー温度を測定することにより、目的の温度依存性浪費回路の非感受性株をスクリーニングした結果、一株の非感受性変異株を得ることに成功した。しかしならが、目的を得るのに時間を要したため、変異体の詳細なキャラクタリゼーションを行うには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までの研究計画のうち、コロニー温度および発熱量が培養温度により変化する微生物Pseudomonas putida TK141株の温度依存性浪費回路のに関わるタンパク質及び遺伝子群の解析については、当初の計画通り、その遺伝子解析を行うことができた。一方で、温度依存性浪費回路の変異体作成において、研究計画で提案したトランスポゾンを用いた方法が使えなかったため、化学変異による変異体作成に切り替えた。本年度中に目的の変異体は得られたものの、そのキャラクタリゼーション及び変異部位について調べることはできなかった。しかし、26年度も継続した研究を振興することにより、研究目的を達成することができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画に基づき化学変異による発熱能を欠損した変異株の取得を試みた結果、予定より遅れたものの、目的の変異株を取得することができた。しかし、本年度内には、得られた変異株の詳細なキャラクタリゼーションおよび、タンパク質の機能解析に着手するにはいたらなかった。そのため、本年度はキャラクタリゼーションおよびタンパク質の機能解析に使用する予定であった消耗品の購入を見送ったため、未使用額が生じた。今後は、本年度遂行できなかった変異株のキャラクタリゼーションおよび、タンパク質の機能解析を行う。そこで、本年度生じた未使用額をその経費に当てる。 また、温度依存性浪費回路の調節には、温度センサータンパク質、発熱に直接関与する発熱タンパク質および、温度センサータンパク質から発熱タンパク質へのシグナル伝達に関わる遺伝子群が関与すると予想される。そこで、本年度までの研究で浪費回路への関与が示唆されたタンパク質について、得られた変異株における発現量変化を調べることにより、本タンパク質が浪費回路に関与していることを明らかにする。さらにP.seudomonas putida TK1401株の遺伝情報を調べることにより、浪費回路への関与が示されたタンパク質の調節機構を明らかにすることにより、本申請課題の目的が達成できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は研究計画に基づき化学変異による発熱能を欠損した変異株の取得を試みた結果、予定より遅れたものの、目的の変異株を取得することができた。しかし、本年度内には、得られた変異株の詳細なキャラクタリゼーションおよび、タンパク質の機能解析に着手するにはいたらなかった。そのため、本年度はキャラクタリゼーションおよびタンパク質の機能解析に使用する予定であった消耗品の購入を見送ったため、未使用額が生じた。 次年度は、本年度遂行できなかった変異株のキャラクタリゼーションおよび、タンパク質の機能解析を行うために化学試薬、生化学試薬、培養用器具の購入に使用する必要がある。そこで、本年度生じた未使用額をその経費に当てることにしたい。
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