研究課題/領域番号 |
24655150
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
梅影 創 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30419436)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | RNA / RNA分解酵素 / ハンマーヘッドリボザイム |
研究概要 |
当初の研究予定では、(1)RNA分解酵素抵抗性のハンマーヘッドリボザイムのRNA分解酵素耐性化に必要な部位の同定、(2)RNA分解酵素抵抗性のハンマーヘッドリボザイムのRNA分解酵素耐性かに関与する二次構造構造の解明、を予定していた。 (1)に関しては、44塩基のRNA配列中の末端部分の2塩基がRNA分解酵素耐性化に重要であることを見出した。また、これに基づいて44塩基のハンマーヘッドリボザイムをRNA分解酵素抵抗性を維持しつつ23塩基長まで短縮させることに成功した。また、一部RNA分解酵素脆弱性のRNA配列を44塩基のハンマーヘッドリボザイム中に組み込むことで、この易分解性のRNA配列をRNA分解酵素に対して抵抗性を示すように改変させることにも成功した。 (2)に関しては、ヒト以外の生物種由来のRNA分解酵素を用いて、本ハンマーヘッドリボザイムのRNA分解酵素抵抗性を評価したところ、ヘビ毒由来の二重鎖RNA特異的RNA分解酵素であるRNaseV1に対して分解されることを見出した。さらにRNaseV1による分解を受けた後では、RNaseAに対して分解を受けるようになることが明らかとなった。本ハンマーヘッドリボザイムのRNA分解酵素耐性化を示す凝集構造の外部構造は二重鎖を中心とした構造であり、内部はRNaseA感受性を示す一本鎖RNAが形成されていることが示唆された。つまり、凝集体の内部は機能性RNAの機能自体が維持されていることが想定された。実際に凝集性の本ハンマーヘッドリボザイムの場合、凝集構造を形成しているにもかかわらず、コントロール用(凝集しないタイプ)の通常のハンマーヘッドリボザイムと同様の活性を示すことが分かった。これらのことから、RNAを凝集させることによっても機能が損なわれる訳ではなく、凝集性RNA薬剤のデザインが有用であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者の見出した44塩基長のRNAが凝集しRNA分解酵素耐性となる原理の理解をめざして研究を行い、44塩基長のRNAの凝集化に重要な配列部位の同定に成功した。この知見を活かして、44塩基長であったものをRNA分解酵素耐性を保持させたまま23塩基に短縮することに成功した。これにより、他のRNA分解酵素に対して脆弱な機能性RNA配列に手軽に導入する道筋をつけることができた。すでに、一部のRNA配列(機能性RNAではないが、RNA分解酵素分解性の配列)をRNA分解酵素耐性化させることに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究において、我々が見出したRNA分解酵素に対して抵抗性を示すRNA配列中のRNAの凝集化(RNA分解酵素耐性化)に重要な配列部位を同定することができた。今後は、この配列を他の機能性RNAに導入することで、通常はRNA分解酵素に耐性脆弱な機能性RNAを凝集化させ、RNA分解酵素耐性化する手法を開発する。具体的には、ルシフェラーゼ遺伝子、抗アポトーシス関連遺伝子をノックダウンするshRNA配列を凝集化させてRNA分解酵素耐性化する手法を確立する。 培養細胞を用いて、ルシフェラーゼ遺伝子のノックダウン、抗アポトーシス関連遺伝子(例えばbcl-2)のノックダウンによるモデル癌細胞のアポトーシス誘導効果を従来の易分解性shRNAと比較し、本手法有用性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
RNA合成用の試薬(ポリメラーゼ、ヌクレオチド等)、及び培養細胞実験用試薬(トランスフェクション試薬、ルシフェラーゼアッセイ試薬、アポトーシス評価用試薬等)の購入費としての使用を計画している。
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