mRNAの“望みの位置の核酸塩基”を“望みの核酸塩基”に変換できる技術は、研究ツールとして多方面に利用可能な革新的技術につながると考えられる。本研究では、この技術を実現するために、新規な機能性核酸として亜硫酸(あるいはスルフィン酸)結合型オリゴヌクレオチドを設計・合成し、一本鎖RNAの望みの位置のシトシン塩基をウラシル塩基へと変換(C→U変異)する手法の開発を目指した。昨年度は、本手法開発の基礎となるスルフィン酸のC→U変換能評価、スルフィン酸を連結したオリゴ核酸の合成法の確立を行った。最終年度である平成25年度は、昨年度に得られた成果をもとに以下の成果を得た。 昨年度合成した保護したスルフィン酸(スルフィン酸前駆体)を連結したオリゴ核酸を用いて(塩基処理による脱保護によりスルフィン酸へと変換した後に使用)、2'-O-メチルRNA中のシトシン塩基を標的としたC→U変換反応を検討した。連結するリンカー長、反応温度、塩濃度、pH等の条件を種々検討したが、目的とするC→U変異が生じた2'-O-メチルRNAをHPLCにより検出することはできなかった。さらに、オリゴ核酸並びに2'-O-メチルRNAの配列の検討も行ったが、いずれの場合も目的とするC→U変異体を得ることはできなかった。その理由の一つとして、スルフィン酸によるC→U変換速度、特にシトシン塩基への付加反応がきわめて遅いことが考えられた。今後、本知見を踏まえて、より反応性の高いスルフィン酸アナログを開発し、本技術の実現に繋げていく予定である。
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