分化や疾患など生命現象に関わる遺伝子群を網羅的に同定することは、生命現象のメカニズムの解明や疾患の新たな治療法を開発する上で非常に重要である。そのような遺伝子を網羅的に同定する手法の開発のために、本年度ではまず、研究に用いる、クオリティーの高いサンプルの作製を行なった。目的のサンプルを構築するために必要なそれぞれの部品を混合し、秩序正しく再構成させることにより、よりクオリティーの高いサンプルの作製を試みた。数回反応条件を変えながら改良していくことにより、最終的にこの段階の効率は問題なく作製できた。次に、得られたサンプルを大腸菌に導入したが、その効率が思わしくなかった。大腸菌自体を自作し、異なる作製手順を何度かトライし、さらに凍結融解によるダメージを防ぐため、それぞれフレッシュな大腸菌を用いて導入を試みたが、効率の大幅な改善は見られなかった。しかしながら、異なる菌種を用いると、導入効率の改善が見られた。しばらく培養後、得られたサンプルのクオリティーをチェックしたところ、少なくとも実験に用いるために必要なレベルには達成していることが確認できた。そこで次に、得られたサンプルを動物細胞に導入し、サンプルを含まないコントロール実験との比較・検討を行なった。しかしながら、現在までの初期実験では顕著な違いがまだみられていない状況である。目的の反応を得るためには様々なファクターを検討する必要があり、現在、用いるサンプルの量、加えるタイミング、培養時間等の最適化を行なっているところである。
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