研究概要 |
N-アセチルグルコサミンを基本骨格として、アクリルアミドフェニル型の硫酸化糖モノマーの合成を行った。3位または4位または6位を位置選択的に硫酸化したN-アセチルグルコサミン、及び3,4,6位N-アセチルグルコサミンのモノマーを得た。このモノマーをアクリルアミドと共重合して、硫酸化糖鎖高分子の合成を行った。また、グルクロン酸についてもモノマー化、高分子化を行った。これらについて、グリコサミノグリカンに基づく機能があるかの解析を行った。まず、直線状のポリマーについては、アルツハイマー病関連酵素のβセクレターゼの阻害活性があることを明らかにした。また、界面活性剤の存在下、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリル酸などとラジカル重合を行い、ナノゲル粒子の合成を行った。硫酸化糖を有するナノゲル粒子については、ヘパリンやヘパラン硫酸と結合する細胞成長因子との結合性があることがわかった。ヘパリンやヘパラン硫酸といったグリコサミノグリカンの模倣機能としては、3,4,6位硫酸化N-アセチルグルコサミンが最も優れた結合活性を示すことが、βセクレターゼ、細胞成長因子との結合アッセイより明らかになった。 また、糖鎖高分子でできたナノゲル粒子を構成要素としたバイオセンサーについて検討を行った。糖鎖高分子ナノゲルを固定化し、構造色によるバイオセンシングを検討し、タンパク質ターゲットを特異的かつ大きな容量でセンシングできることを明らかにした。
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