脳疾患治療における重要課題は、薬剤が脳内に移行し難いことである。これは、毛細血管から脳実質への物質移動が、血液脳関門(BBB)によって厳しく制限されていることによる。本研究では、数nmサイズのナノ抗体を用いてBBBの突破を試みた。主に1)ヒト型ナノ抗体ライブラリーの作製と合成、2)微量分析系の確立、3)in vitro BBB透過性試験を行い、BBBの透過率は分子サイズに従い、ナノ抗体単量体(25 kDa)、ナノ抗体二量体(50 kDa)、完全抗体(150 kDa)の順であることが判明した。これにより、25 kDa程度のナノ抗体に脳治療の機能を持たせれば、脳疾患の治療が可能であると考えられた。
|