研究課題/領域番号 |
24655165
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
山内 智 茨城大学, 工学部, 准教授 (30292478)
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キーワード | THz / 糖結晶 / エミッター / ダイポール |
研究概要 |
糖結晶成長用原料粉末および結晶化初期過程を制御するために、粉末中でのアノマー組成比の精密測定および粒径の非破壊分析を平成24年度に引き続き実施し分析方法を確立した。これらの結果は、平成25年4月開催のInt’l Workshop on Optical Terahertz Science and Technology (OTST) 2013で発表し、平成25年12月にAmerican J. Anal. Chem., Vol. 4, 756-762.および平成26年3月にOptical Engineering, Vol. 53, 031203-1-5.にて学術論文として掲載した。 テラヘルツ波エミッタ用糖結晶成長では、過飽和水溶液を用いた条件の最適化を行い、結晶成長を実施した。その結果、長さ2mm程度の単結晶は得られるものの水溶液中でのアノマーによる結晶成長速度の強い異方性により所望の形状が得られないことがわかった。更に大型の結晶を作製し研磨により所望の形状を得ることを試みたが、2mm以上の大きさになると双晶が生じてしまっている。これらの結果を基に、平成25年度途中から過飽和液を作製する際の溶媒をアノマーを生成し難いものに変更し条件の最適化を行った。その結果現在までに、結晶成長速度の異方性が緩和されることを確認できている。但し、結晶成長速度が水溶液中に比べて低いために今後溶液の調整と結晶成長条件の最適化が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に実施した結晶成長で得られる双晶では、十分な強度のテラヘルツ波が得られなかったことから、結晶成長のための溶媒の変更をせざるを得なかった。その結果、平成24年度に引き続き結晶成長の検討を行う必要が出てきたために、当初予定していたTHz-TDS系への組み込みが実現できていない。糖結晶を組み込むためのTHz-TDS系は別途構成済みであるので、全体での研究進度はやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
大型の糖単結晶成長を実現するための溶液調整および条件の最適化が不可欠であるので、第一優先で実施する。また、これまで作製した結晶(双晶を含む結晶)の脱水物物を作製し、テラヘルツ波発振効率への影響を評価する。 結晶が出来次第、THz-TDS系への組み込みを実施して、完成を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、糖結晶成長の変更を行い、その後に予定していた評価を後ろ倒ししたために物品の購入を行わなかった。それにより物品購入費の残額が生じている。 平成26年度に予定していた物品(結晶成長、評価部品およびTHz-TDS系への組み込みの際の部品)の購入を行い、評価を実施する予定である。旅費については、国際学会2回および国内学会1回での発表を予定している。その他では、学術誌論文1編の投稿を予定している。
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