研究課題
人工光合成の中でも、一枚膜の表と裏で酸化還元を独立に行う"Artificial leaf"は、逆反応を抑制するのみならず、二室系セルに比べて設置形態や場所に自由な簡単な構造をもつ。本研究では、これまでに我々の進めてきた高分子膜型有機光触媒の揮発物質の酸化分解に関する知見をもとに可視光誘起水分解を有機半導体により行う"Artifical organic leaves"の構築を目標としている。最終年度にあたる平成25年度は、高分子膜として水、プロトン、水酸化物イオンの輸送の可能なや高品質ブロックコポリマーを用いて、これにp型、n型有機半導体をこの順番に積層することに成功し、その特性を光電気化学的手法により明らかにした。またこの研究の中で、ブロックコポリマーの親水チャンネル内の反応基質輸送の適切な温度や、pn接合体からの正孔による酸化反応の温度依存性を明らかにし、この高分子膜型光触媒を高効率に作用させる温度が比較的高温にあることを明らかにした。この結果、特に後者はこれまでにほとんど意識せずに進めてきたが、高分子膜化することにより、この二つの特性がともに高い温度領域で光触媒反応を進めるべきであるという、特に重要な結論をえることができた。また、研究計画当初に一枚様態の特徴として、積層化させる"Artificial leaves"を意識していたが、これについても積層化した場合に光を適切に利用するための最適な吸光度、言い換えれば最適なpn接合体の厚みを実験的に検証し、「一方向型フローリアクター」の概念を提出することができた。これらを含めて、これまでの有機半導体の光触媒化について、そのメカニズムと現状をまとめた総説を日本語で発表したことは、研究者のみならず一般社会や学生に対しても研究紹介することができた。
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