カルバゾール、ピレン、チオフェン、フラーレンを主骨格として、これに長鎖アルキル鎖やエチレングリコール鎖をつけたさまざまな液状のπ共役分子を合成し、高分子と相溶する組み合わせや濃度条件を抽出した。 示差走査熱量測定の結果から、分子レベルで相溶する材料が複数確認された。液体共役分子と高分子が相分離している材料では延伸時にすぐ破断するのに対し、相溶した材料は300%の歪みにおいても破断することなく可逆的な伸縮特性を示し、従来の固体高分子半導体材料の1/100以下である0.1から10MPaの弾性率を示した。 このゲル状のπ共役材料を活性層とし、ジメチルポリシロキサンを基板とし、液体金属を陰極とする伸縮性太陽電池を作成した。光電変換効率は0.01%以下と小さい値にとどまった。一方、通常の高分子半導体を活性層に用いたデバイスでは、延伸時の40%の歪みにおいて素子の短絡し、過度の延伸における活性層のクラックや電極との剥離が確認された。一方で、ゲル状の活性層を用いた素子の中には100%の歪みまで素子が短絡せず、大きな変換効率の低下を伴うことなく駆動するものが存在した。 さらに液状のπ共役分子と高分子の透明な相溶体の中には、延伸に伴い液状のπ共役分子と高分子が相分離することで白濁し、収縮すると再び相溶して透明な状態に戻るといった新しい機能性が見出された。このような伸縮性材料は新たな力学応答性の機能性光学材料になると考えられる。
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