研究概要 |
有機太陽電池の代表的な材料である位置規則性ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)と[6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester (PCBM)の混合物(バルクへテロ接合)のクロロベンゼン溶液を用いてスピンキャスト法により,BaF2上に薄膜を作成した.この膜を130 ℃で10分間アニーリングした.作成した試料をクライオスタット(オックスフォード社,Optistat DN-V型)の試料部に取り付けて,液体窒素で冷却して77 Kにし,フーリエ変換赤外分光計(バリアンFTS-6000)で赤外吸収スペクトルを測定した.その後,532 nmレーザー光(出力,65 mW)を2時間照射して,スペクトルを測定したところ,1800~1200 cm-1付近の幅広いバンドと1464, 1378, 1307, 1144, 1082 cm-1などにバンドが観測された.幅広いバンドはクライオスタットのヘッドについた氷の可能性がある.次に,試料の温度を100, 150, 200, 250, 300, 350, 400 Kとあげて,それぞれの温度で赤外スペクトルを測定した.200から300 Kで,1286と1272, 1123, 1072 cm-1へピーク位置のシフトが観測された.300から350 Kで,観測されていたバンドが消失し,複雑な形をしたスペクトルに変化した.これらのスペクトルの再現性と起源について明らかにする必要がある.
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