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2012 年度 実施状況報告書

熱刺激赤外分光法の開発と有機半導体薄膜におけるキャリアトラップの分子構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 24655177
研究機関早稲田大学

研究代表者

古川 行夫  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50156965)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード赤外分光 / 有機半導体 / キャリアトラップ
研究概要

有機太陽電池の代表的な材料である位置規則性ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)と[6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester (PCBM)の混合物(バルクへテロ接合)のクロロベンゼン溶液を用いてスピンキャスト法により,BaF2上に薄膜を作成した.この膜を130 ℃で10分間アニーリングした.作成した試料をクライオスタット(オックスフォード社,Optistat DN-V型)の試料部に取り付けて,液体窒素で冷却して77 Kにし,フーリエ変換赤外分光計(バリアンFTS-6000)で赤外吸収スペクトルを測定した.その後,532 nmレーザー光(出力,65 mW)を2時間照射して,スペクトルを測定したところ,1800~1200 cm-1付近の幅広いバンドと1464, 1378, 1307, 1144, 1082 cm-1などにバンドが観測された.幅広いバンドはクライオスタットのヘッドについた氷の可能性がある.次に,試料の温度を100, 150, 200, 250, 300, 350, 400 Kとあげて,それぞれの温度で赤外スペクトルを測定した.200から300 Kで,1286と1272, 1123, 1072 cm-1へピーク位置のシフトが観測された.300から350 Kで,観測されていたバンドが消失し,複雑な形をしたスペクトルに変化した.これらのスペクトルの再現性と起源について明らかにする必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の目的の70%程度を達成できたと考えている.課題1の熱刺激赤外吸収システムの構築とP3HT:PCBM混合薄膜の熱刺激赤外吸収測定に関しては,システムのセットアップを行った.また,P3HT:PCBM混合薄膜について,77 Kにおいて,光照射で変化したスペクトルを測定し,それらの温度変化を測定することができた.しかしながら,それらの起源に関して,明らかに出来ていない.また,課題2で作製条件が異なる薄膜の実験を行う予定であったが,そこまで進まなかった.

今後の研究の推進方策

今年度に課題として判明した以下の2項目に関して研究を進める.
(1)P3HT:PCBM混合薄膜に関して観測された光照射・昇温の赤外スペクトル変化に関して,再現性の確認を行う.(2)P3HT:PCBM混合薄膜に関して観測された光照射・昇温の赤外スペクトル変化の起源を明らかにする.P3HTとPCBMの単一成分の薄膜を作成して,光照射・昇温,昇温のみのスペクトル変化を観測して,光照射により生成した化学種と元々の物質の温度変化によるものか明らかにする.
これまでの研究で,キャリアトラップとなる分子構造に関する知見を得ることが出来るようになるので,次のステップとして,以下の研究を行う.
(3)様々な条件で作成したP3HT:PCBM混合薄膜に関して,実験を行う.また,位置不規則性P3HTやオクチル基で置換されたポリチオフェンなどを用いて実験を行う.

次年度の研究費の使用計画

次年度の予算は,すべて,液体窒素や薬品など消耗品の購入に使用する.

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公開日: 2014-07-24  

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