本研究は、イオン液体を電解液として、アルミニウムと塩素ガスによる大きな出力の電池の開発を目指すものである。 電極となるアルミニウムは、純アルミニウムの他にスクラップアルミニウムを想定しており、スクラップを処理しながらエネルギーを回収する事が出来るため、環境技術として期待できるものである。 この電池は,イミダゾリウム系イオン液体、アルミニウム(アルミニウム合金)と炭素電極の下部に塩素ガスをバブリングさせた塩素電極からなる。 1年目は塩素電極の形状の検討を行い、より多くの塩素ガスがイオン液体に溶解させる形状を模索した。2年目は、電極形状の検討の他にスクラップアルミニウムを想定した、電池性能に与えるアルミニウム合金元素の効果を調べた。電極形状の検討の結果、塩素ガスの停滞が抑制される形状として、円錐型の電極が考案され、その円錐の角度によっても塩素還元の効率が変化する事がわかった。アルミニウム合金における合金元素の影響については、Al-Mg合金では、純アルミニウムよりも開回路電池電圧が大きくなるが、閉回路時の電池電圧は純アルミニウムの時よりも僅かに小さくなった。Al-Si合金では、純アルミニウムに比較して開回路電池電圧、閉回路時の電池電圧ともに小さくなった。これらの結果は、スクラップアルミニウムを処理しながら、電池を作動させた場合、電池出力特性がどの程度低下するのかを見積もる際に有効な基礎データになると考えられる。
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