研究課題
ルテチウム (Lu)複酸化物は、高輝度レーザー媒質や量子ビーム用シンチレータとして期待されるが、その単結晶成長には2000°C以上の超高温液相プロセスの開発が必要である。そのため、基礎研究は限定的であり、実用化への障害にもなっている。近年、単結晶光学材料に替わる多結晶セラミックスの透明焼結体が注目されている。セラミックスは、粒界・空隙・介在物などのマクロ欠陥を含むため、焼結体は一般的には不透明だが、原料や合成プロセスの工夫によって、光の散乱源となる欠陥を取り除くことで、透明なセラミックス焼結体を合成できる。平成25年度は、Nd2O3-Lu2O3系において、透明焼結体の合成プロセスを確立した。放電プラズマ焼結装置を用いて、Lu2O3とNd2O3粉末を焼結した。合成した試料の結晶相はX線回折装置を用いて評価し、光学特性は紫外可視近赤外分光光度計を用いて評価した。また、光学特性を向上させるため、LiF添加の効果についても調べた。0.05-0.2 wt%LiF を添加した場合、可視光において特に優れた光学特性を示すNd2O3-Lu2O3透明焼結体が得られた。一方、Lu2Ti2O7およびLu3NbO7透明焼結体については、光学特性やイオン電導性をより詳細に評価していくことで、透光性、結晶構造、イオン伝導性の3つの因子を制御した透明性とイオン伝導性を併せ持つ複合機能セラミックスの創製につながる展開が期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
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