研究課題/領域番号 |
24655189
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
成毛 治朗 東京工業大学, 資源化学研究所, 特任准教授 (40237623)
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キーワード | 量子収率 / 高輝度蛍光体 / 希土類 / アップコンバージョン |
研究概要 |
【目的】本研究は、長波長光を短波長光に変換するアップコンバージョン蛍光体の実用化のため、固体内の希土類ドーパント(ドナー/アクセプター)の分散を最適に制御するという、全く新しい発想に基づいて前駆体の分子デザインを行い、発光輝度を飛躍的に向上させ、次世代材料としての基盤の確立を目的としている。 【25年度の実績】本年度は、希土類6核クラスターの熱分解により生成したY2O3:Er,Yb蛍光体において、不純物の解析結果をもとに純度と収率を向上させた。また、Er,Ybドープ濃度の最適化を達成した。一方、ドナー/アクセプター分布の直接観察を目標に、デンソーとの共同研究とも関連して収差補正STEMによるEDS元素マッピングを行った結果、決定的な証拠は得られていないものの、本手法によるEr,Yb分布観察の有効性が確認された。さらに、同分布を調べる別法として、同じく同社との共同研究を通じ、あいちシンクロトロン光センターを利用したXANESの測定を行い、現在データ解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドナー/アクセプター分布に関して決定的な測定結果がまだ得られていないが、1つの手法に頼らず、多方面からの測定法と解析が緩やかではあるが進展しており、目標達成まで確実に近づいている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)近赤外光の試料への照射エネルギー密度を求め、アップコンバージョン発光量子収率との相関関係を決定する。 (2)ドナー/アクセプター分布の測定・解析を通じて、当初の仮説であるドナー/アクセプター・ドメイン形成の有無を調べ、その結果と合わせて母体内でのエネルギー移動を解明する (3)さらなる高輝度な母体としてY2O2S、Gd2O3、NaYF4を検討する。これらの調製に適した前駆体として、従来の希土類6核クラスターをはじめ、他の希土類多核クラスターや希土類ナノ粒子を利用する。 (4)試料調製に用いるDMFの回収システムを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
企業との共同研究実施により、本科研費で必要な備品・消耗品に変更を生じた。 新たに試料調製に必要となった消耗品と備品の購入、および発光量子収率測定システムの部品の購入、学会参加費に使用する予定。
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