本研究では,ユニークなグリーンナノ結晶複合体を低環境負荷プロセスにて作製する技術を提案する。特に,フラックス概念を導入した方法で,超ハイブリッドナノ結晶/ナノカーボン複合体を作製することをめざした。具体的には,金属酸化物系(あるいは省白金)ナノ結晶をナノカーボン表面に直接形成するとともに,その結晶成長を制御し,高機能化をはかり,グリーンエネルギーデバイス応用を試みた。前年度のマルチブランチ型複合体作製技術を展開し,ナノ結晶原料とともに酸化剤と分散剤を混合し,カーボンナノチューブ(ファイバー)を処理することで,カーボン表面が鱗片状に剥離したナノ結晶/ナノカーボン複合体を作製できた。特に,白金代替をめざしたパラジウム系と酸化鉄系結晶育成において,ナノ結晶複合体が得られた。酸化剤によるカーボン表面の剥離の際に,ナノ結晶原料が杭のように働き,カーボンナノシート(グラフェン様態)が完全に分離することなく,フラワー形状を作りだすことがわかった。これは,酸化剤として用いたフラックスの特異的な働きによる。さらに,このようにして作製したPtナノ結晶/ナノカーボン複合体を用いて,燃料電池用触媒としての電気化学的評価を実施したところ,ナノフラワーの効果も相まって良好な酸化還元反応(4電子反応)を示すことが確認できた。前年度のマルチブランチ型1DCoO/CNT複合体とともに,フラワー状ナノ結晶複合体は,CNT電界放出素子の高効率化に寄与するとともに,燃料電池や触媒担体としての応用も期待できる。
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