研究概要 |
近年、ナノ中空粒子をポリマーと混練した薄膜が、特異な光学特性を持つことを発見した。粒子が可視光波長以下のナノサイズであること、またシェルと内部空気の屈折率差によるものであると考えられる。本研究では、さらなる光学特性の向上と制御を目指し、スケルトン構造を有するナノ粒子を設計した(C. Takai et al., Chem. Lett., 2011)。粒子径がナノサイズであることに加え、シリカフレームからなるスケルトン構造が特定波長を散乱、または吸収し、より高い光学特性を発揮すると期待できる。 スケルトン粒子が、ナノサイズであることと、スケルトン構造であることに起因する特性であると考えられるが、現在の光学特性理論では説明できない。本研究では、スケルトンシリカ粒子の構造、微細構造の違いと、粒子の光学特性に与える影響について整理することを目的とする。本研究で得られた理論を基盤として、光学特性に特化した粒子設計を試み、上述した光学薄膜へ応用する。 スケルトン粒子は、炭酸カルシウムをテンプレートとし、ゾルゲル法によりシリカフレームを生成させる。ゾルゲル反応条件として、反応時間、シリカ源の添加量、炭酸カルシウム粒子径、反応溶媒極性、触媒量、溶媒種類など多くの条件が、フレーム微細構造を決定することがわかった。前年度の成果を基に、代表的なスケルトン粒子を合成し、アクリル系ポリマーとの複合薄膜を作製した。得られた複合膜が、同粒子径、同濃度の中実粒子複合膜と比較して、高い光学特性を示すことがわかった。
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