研究課題/領域番号 |
24655202
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50361184)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シルセスキオキサン / 自己組織化 / ハイブリッド材料 |
研究概要 |
本研究は、新規“コア-コロナ”型両親媒性ハイブリッドオリゴマーを合成し、これらをファイバー、シートなどの階層構造に自己組織化させる。これまでダブルデッカー型シルセスキオキサンを基盤材料としこれに親水性のジエチレングリコール側鎖を付与することで両親媒性化に成功した。そこで本研究では、この両親媒性シルセスキオキサンの気液界面上における自己組織化構造において、下部水相に、KCl,リン酸 1,3-bis(hydroxymethyl)ureaを加えた際の影響について検討した。表面圧-面積等温線およびブリュースター角顕微鏡(BAM)測定により気液界面上おける単分子膜挙動を検討したところ下部水相にリン酸、1,3-bis(hydroxymethyl)ureaを加えた場合は極限占有面積の増加および液体単分子膜挙動が観測された。これは親水部位として付与したジエチレングリコール鎖間をリン酸では静電相互作用で1,3-bis(hydroxymethyl)ureaでは水素結合で架橋したためと考えられる。また両親媒性シルセスキオキサンはジエチレングリコール鎖が4つ含むため疑クラウンエーテル構造を有していると考えられるため、K+イオンを捕捉することが期待できる。実際にKCl水溶液のイオン伝導度を測定したところ両親媒性シルセスキオキサンを加えるにつれて伝導度が減少しKClと両親媒性シルセスキオキサンの比率が2:1以上になると飽和した。これは期待された様にジエチレングリコール側鎖2つで一つのK+を捕捉しているためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気液界面上における組織化挙動について下部水相に加える基質によりその構造を制御することに成功しており、おおむね順調に進展している。また当初計画にはなかったがジエチレングリコール側鎖を疑クラウンエーテル構造とみなすことでイオン捕捉を行うことにも成功した。この構造はクラウンエーテルとはことなりフレキシビリティーがあるために、より広範囲のイオン捕捉が可能であることが期待出来る。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは両親媒性シルセスキオキサンと他の化学種との相互作用を用いることでその自己組織化構造を制御することに取り組んできた。今後は。両親媒性シルセスキオキサンに導入したジエチレングリコール側鎖末端の水酸基を利用することで、水素結合性、π-スタック性、イオン性、不斉を有するハイブリッドオリゴマーを合成する。こので合成した両親媒性ハイブリッドオリゴマーの自己組織化構造体を構築する。具体的には、合成したハイブリッドオリゴマー分子を良溶媒に溶解した状態で、貧溶媒を加え、自己組織化構造を構築させる「再結晶法」、貧溶媒と良溶媒の蒸気交換を用いる「蒸気拡散法」、不溶な2 溶媒間の界面を用いる「液-液界面集積法」を試みる。得られた構造を走査型電子顕微鏡(SEM),透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)などで観察し、アルキル側鎖長野違いやその立体構造、π共役分子間のスタッキング、イオン反発、不斉源などが自己組織化構造におよぼす影響を明らかにし、”core-corona”型両親媒性ハイブリッドオリゴマーの化学構造と、自己組織化構造との相関をライブラリー化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度の請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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