研究課題/領域番号 |
24655206
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (90547019)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高分子微粒子 / 非等方性 / ピッカリングエマルション / ゲル / 刺激応答性 |
研究概要 |
外部の刺激に応じて化学・物理的性質を自在に変化させることができるヒドロゲル微粒子に対して、エマルションの水・油界面を活用する相異なる性質を導入する新手法を提案し、外部刺激に応じて微粒子の挙動を制御できる非等方性ゲル微粒子の実現を目指してきた。この手法は、用いるゲル微粒子が水油界面に吸着・固定されなければならないと考えた。そこでまず、アミノ基と反応するカルボキシル基を有するモノマーに加え、温度応答性N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)をモノマーとして選択し、水系沈殿重合法によって刺激応答性ゲル微粒子を得た。界面活性剤の添加や、重合温度の段階的制御法なども検討し、サイズオーダー(数十nm~数μm)の異なるゲル微粒子を得た。合成したゲル微粒子を用い、エマルション法により、ゲル微粒子に対して非等方的に、化学反応によって正電荷を示すアミノ基の導入を試みた。得られた非等方性ゲル微粒子は、温度・pH変化に応じ、その性質が変わることを確認した。特に、顕微鏡観察においては、特定の条件下において、微粒子が鎖状に集合する様子が確認された。 化学反応を行う前のゲル微粒子のサイズを変化させ、同様の反応処理を行ったところ、いずれの粒子に対しても同様のスキームを適用することができた。よって、本研究で提案するエマルション界面を利用したヒドロゲル微粒子の非等方化については、ゲル微粒子のサイズによらず適用できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とするゲル微粒子の合成、ゲル微粒子の化学修飾反応とも問題なく進行し、さらに、本研究で取り組むピッカリングエマルションを用いた非等方化についても、ゲル微粒子のサイズによらず幅広く適用できることを明らかとすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
24年度で確立した手法の適用範囲を拡大し、任意の性質/構造を有する非等方性ゲル微粒子の作製を検討する。まず、それぞれ疎水性、親水性を示す親疎水偏在ゲル微粒子を調製するために、化学反応性の向上を目指す。そのため各種共重合モノマーを検討する。作製した各種非等方性ゲル微粒子を用い、外部刺激によって非等方性の相互作用を巧みに調節し、一連の凝集現象の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画よりも、安価に研究が完了したため、次年度使用額が生じた。その分を、実験試薬(特に有機溶媒の購入)にあて、油の種類の検討をさらに充実させる。得られた結果は、学術論文での発表や、各種学会での発表を予定しており、旅費に充てる。そのほか、専門知識を深めるために、専門家に打ち合わせ・講演を依頼する。そのための謝金としての利用も考慮する。
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