研究課題
粒子径がナノからミクロンメートルサイズの単分散微粒子を周期配列させた構造体は、コロイド結晶と呼ばれる。外部応力によって引き起こされるコロイド結晶材料の構造、物性変化は、コロイド粒子、および応力の種類、大きさ、向き等の複数のパラメーター等に影響を受ける。今後、多様な機能性コロイド結晶材料の実用化研究が発展する中で、理論解析により、コロイド結晶の応力変形による構造、物性変化を予測できるようにすることは意義がある。本研究では、外部応力が、コロイド結晶を形成する粒子自身の形状および粒子の配列構造に与える影響を、実験的および理論的に明らかにすることを目的としている。平成25年度は、平成24年度に実験的に取得した2次元コロイド結晶フィルムに加えられる引張応力とコロイド結晶の形状変化の相関関係に対し数値解析を行うことで、コロイド結晶の変形メカニズムの解明を試みた。応力変形前の微粒子の投影形状を六角形とし、数値解析を行ったところ、微粒子の変形は3次元的なアフィン変形として捉えられることが明らかになった。数値解析の結果、ブロック形状の変形に対しては、実験結果が良い一致を示すことを明らかにした。また、釣りの浮き形状の変形に対しては、引張応力の方向に関して、一部実験結果より数値解析の結果が大きく出てくることがわかった。これは、コロイド結晶中の粒子間、粒子-マトリックス間の様々な相互作用を考慮に入れることで説明が可能であり、非平衡な変形構造を維持するための制御因子を明らかにすることに成功した。本研究内容について、公益社団法人 高分子学会 第62回年次大会の開催に先立ち記者会見で発表すると共に、同大会で依頼講演を行い、高分子科学技術の普及活動を行った。
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