研究課題/領域番号 |
24655213
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
浦上 忠 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80067701)
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研究分担者 |
白岩 正 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10067746)
矢島 辰雄 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (40434823)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バイオエタノール / 温度差制御気化浸透法 / 多孔質高分子膜 / エタノール選択透過濃縮 / 架橋ポリジメチルシロキサン膜 |
研究概要 |
バイオ発酵で得られる希薄エタノール水溶液(約10wt%)からバイオエタノールを選択的に透過濃縮する高分子膜を成膜する膜材料としてポリ[(トリメチルシリル)-1-プロピン](PTMSP)を合成した。このPTMSPの分子量はMw 1,520,000、Mn 481,000, Mw/Mn 3.17であった。緻密PTMSP膜は乾式法で成膜し、多孔質PTMSP膜は湿式法および凍結乾燥法により調製した。これらのPTMSP膜を用い、温度差制御気化浸透(TDEV)法で希薄エタノール水溶液の透過分離特性を検討した。 緻密PTMSP膜(ベンゼン溶媒)を用いて、膜周辺温度を40oCとし、供給駅温度を変えた時のTDEV法で10wt%エタノール水溶液を透過すると、供給液温度の上昇と共に透過液中のエタノール濃度および透過速度が向上した。透過速度の上昇は、気体分子の運動性の向上による。また、透過液中のエタノール濃度の向上は、気化蒸気中のエタノール濃度の上昇に依存していた。 多孔質PTMSP膜の加圧処理(条件:温度170oC、圧力2MPa、時間10min)した膜を用い、供給液温度を40oCとし、膜周辺温度を供給液温度より低くして変化させTDEV法では、膜周辺温度の低下に伴い、透過速度は減少するものの数kg/(m2h)を示し、エタノール選択透過性は著しく向上した。これらの結果は疎水性多孔質膜をTDEV法に適用することの有利性を暗示している。また、エタノール選択透過性の著しい向上は、上記TDEV条件下での透過種であるエタノール分子と水分子の物理的、化学的性質に依存することを明らかにした。 一方、エタノール選択透過膜として、ポリジメチルシロキサンとテトラエトキシシランから成る架橋膜 (PDMS/TEOS)の成膜条件が確立され、TDEV法によるエタノール選択濃縮の準備ができ、次年度に詳細に検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従前からエタノール選択透過性膜として知られているPTMSPの合成に手間が取られ、PTMSP膜が成膜できなかったため、TDEV法による希薄バイオエタノールの濃縮実験の開始が遅れ、当初の計画通りに進展できなかったが、膜サンプルが合成できてからは比較的順調に進展できた。TDEV法における緻密膜PTMSP膜と多孔質PTMSP膜の比較実験の結果、多孔質膜をTDEV法に適用することの有利性が確認でき、多孔質膜の成膜条件とTDEV法の透過条件の詳細な検討が必要であることに到達した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度の項に記述したように、希薄バイオエタノールの濃縮性能を向上させるため多孔質PTMSP膜の成膜条件とTDEV法の透過条件を詳細に検討し、当初目標の達成に向けて努力する。さらに、研究実績の概要の項に触れたように、バイオエタノール濃縮、その他の有機溶媒の濃縮回収に有望な膜として注目されるPDMS/TEOS膜の成膜条件が確立されたので、TDEV法における透過分離特性を種々の条件下で検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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