研究課題/領域番号 |
24656017
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 散逸構造 / 液晶 / パターン形成 |
研究実績の概要 |
光導電体結晶を用いて液晶セルを作成し,局所的な光を光導電体に照射して液晶電気対流を誘起する事を試みている。最も難しいことは,光導電体結晶に均質な透明電極を形成することである。スパッタ装置を利用して,光学用ガラスに抵抗率が低い透明電極を自作できるようにはなったが,ガラスを結晶に替えて同じ作業を行っても形成される透明電極の抵抗率はガラスの場合よりも500倍以上も高くなった。また,長時間スパッターを行うと,プラズマが不安定になって放電痕ができてしまった。何度も光導電体結晶への透明電極形成を試みたが,良質な成膜はできなかったため,その技術をもつ会社を探したところ,ロシアの企業でそれが可能との情報を得た。そして,その会社に透明電極付き光導電体結晶を依頼したが,予定していた3ヶ月という納期が,同社の装置の不具合のために2ヶ月も伸びることになり,計画していた実験が出来なくなり,やむを得ず研究期間の延長を申請することになった。 透明電極付き結晶の納入を待つ間は,局所光照射実験の準備を行った。局所的な光を照射する方法としては,液晶空間光変調器を使う方法と,高解像度写真フィルムを使用して光のマスクを利用する方法がある。前者の方法では,液晶空間光変調器にホログラムを映し,ホログラムのフーリエ変換の像が対物レンズに映される。この方法のためのホログラムを計算するソフトウェアの作成を行った。また,写真フィルムのマスクも自作できるようにした。局所光を作成する準備はほぼできたといえる。その後,透明電極付き結晶が納入され,落射型顕微鏡に上記の局所光照射光学系を組み込み,実験環境を整えた。 本研究に関連する内容として,剪断下での液晶電気対流にこれまで観測されていない縞構造が出現することがわかった。 本研究の社会還元の目的のため,ひらめきときめきサイエンスの活動として「液晶科学への誘い」をじっしした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
光導電体結晶への透明電極形成が自前でできなかった。光学結晶への透明電極の成膜技術は,日本の企業には無く,ロシアの企業に依頼する事になった。しかし,そのロシアの会社でも装置の不具合のために透明電極の作成が大幅に遅れた。この遅れのために研究期間の延長を申請することになった。
|
今後の研究の推進方策 |
透明電極付き光導電体結晶が入手できたので,来年度は予定していた実験を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
光導電体結晶への透明電極形成を形成することを試みていたが,それが極めて困難であったため,透明電極付きの光導電体結晶を販売できる企業を探し,7/4にロシアの企業に発注した。納期3ヶ月で契約したが,先方の装置の不具合の為に納入が12月末になり,計画していた実験が大幅に遅れた。その為,実験で用いる光学部品,成果発表の旅費,発表費用に未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究期間の延長が認められたため,未使用額は,計画していた実験で必要な光学部品の購入,研究成果の発表旅費および学会登録費用にあてる。
|