研究課題
本研究では、イオン液体を用いて、湿潤状態の生体関連資料の走査型電子顕微鏡観察の実現とその応用展開である。イオン液体とはいわゆる有機の常温溶融塩のことで、水・油とも異なる第3の溶媒として注目されている。塩であるので、当然真空中で蒸発しない上に、電気を通すために導電性のない試料に薄くコートするだけで、その表面がチャージアップせず走査型電子顕微鏡観察が可能となる。今回の課題では、特に水と置換することが可能な低分子量のイオン液体での観察である。今年度は、昨年度に引き続き、細胞表面の直接詳細観察を試み、「柔らかい細胞」の代表例である赤血球の観察を行うことができた。従来、赤血球を走査型電子顕微鏡で観察すると、乾燥状態のものしか観察できなかったが、低倍率では光学顕微鏡で見られるような像を得ることができた。これまでも、イオン液体での細胞観察の例はいくつかあったが、赤血球のような柔らかい細胞の観察例は報告されておらず、新規な生体物質を模倣した我々のイオン液体によって可能になったものと認識される。また、特異的変形をした赤血球も見つけることができ、このイオン液体の有用性が改めて示された。このイオン液体は、市販されたが、電子顕微鏡へのダメージもこれまで報告されておらず、今後の発展が期待できる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Solution Chemistry
巻: 43 ページ: 印刷中
Biomatter
巻: 4 ページ: 印刷中
Journal of Nanoscience and Nanotechnology
巻: 14 ページ: 2620-2623
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巻: 46 ページ: 印刷中
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http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/limsa/