研究課題
1,MoS2粉末から溶液を使わない方法(solvent free method)で、Liインターカレーションを行った。これによって、従来のブチルリチウム溶液を使う方法よりも効率的に単層化材料を作ることができ、大量生産への道筋をつけられた。具体的には不活性化雰囲気でMoS2粉末とLiBH4粉末をまぜて300℃3日反応させて、LixMoS2化合物を作製した。その後、水と反応させることでリチウムが水に溶け、単層MoS2が効率的に剥離された。このインターカレーションによってMoS2の原子構造は半導体相2Hから金属相1T構造へと変化したことを電子顕微鏡によって確認した。次に、水素発生触媒反応(HER)の特性を行ったところ、1T構造のものがPtに匹敵する高い触媒特性を有していることが分かった。また、MoS2は従来では終端原子が活性であることが知られていたが、1T構造では面内で触媒活性であることがわかった。2,遷移金属ジカルコゲン化物(MX2)の中で、これまで化学的剥離の報告例がなかった化合物(ReS2, PtS2)について、Liインターカレーションによる剥離・単層化を試みた。その結果、ReS2粉末からLiBH4粉末を使ったsolvent free methodによって、効率的に単層材料を作ることができた。電子顕微鏡によって、Re4クラスターによる超格子構造1T’が観察された。そして、高い水素発生触媒反応の触媒特性を有していることが分かった。PtS2粉末のLiインターカレーションによる剥離は、Ptがナノ粒子になってしまい層状試料とはならなかった。3,立体構造を持つナノ多孔質金属を鋳型として、その上に化学気相蒸着法を用いてグラフェンを成長させることによって、3次元ナノ多孔質グラフェンを作製した。電気デバイス特性を調べたところ、電子の移動度が最大で500 cm2/Vsを示した。
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