研究課題/領域番号 |
24656029
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 伸彦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10311341)
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研究分担者 |
小林 一昭 独立行政法人物質・材料研究機構, 理論計算科学ユニット, 主幹研究員 (00354150)
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キーワード | 熱伝導 / ナノワイヤ / 理論 |
研究概要 |
原子レベルからナノワイヤの熱伝導特性を理論的に解明することを目的としている。そのための理論的方法論の開発を行っている。この研究は独自開発した数値計算プログラム群をコンピュータ上で実行して数値シミュレーションをさせることによって遂行される。昨年度からの研究に引き続き、原子レベルからの熱伝導解析プログラムを整備し、シリコンナノワイヤ、ダイヤモンドナノワイヤ、カーボンナノチューブの熱伝導特性解析に応用した。そこで、熱伝導度におけるナノワイヤのサイズ効果、温度依存性、原子レベルでの欠陥の効果、その位置依存性の詳細を明らかにするとともに、量子効果として量子化熱伝導の現れる温度を解析し、物質依存性やそのミクロな機構を解明した。また、通常のフーリエ則に従う熱伝導から量子化熱伝導への遷移を原子レベルからの熱伝導計算によって解析し、理論モデルによって一般的な振る舞いを明らかにした。次に、金属半導体界面の熱伝導解析を行い、界面熱抵抗について明らかにした。さらに、密度汎関数法を用いた第一原理電子状態計算から原子間ポテンシャルを導き、フォノン分散関係を詳細に明らかにするとともに、熱伝導における非調和項の解析法を開発して、様々な原子に対して様々な散乱機構を含んだ熱伝導特性解析を可能とした。それによってフォノンの緩和時間や平均自由行程の解析も行った。電子系の輸送解析と連携して熱電変換の解析も行った。これらの研究成果を学会にて発表するとともに、論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題ではナノワイヤの熱伝導を原子レベルから理論的に解析する方法論の開発と応用計算を計画していた。研究補助者による応用計算は適任者の不在のため来年度の予定としたが、原子レベルからの熱伝導理論およびそのための数値計算プログラムを整備を行ったことに加え、計画していなかった熱電変換の方法論の開発に成功し、理論的方法論の研究において当初の予定以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
原子レベルからの熱伝導解析理論をさらに発展させ、ナノワイヤの熱伝導特性を解析する。ナノ系ではフォノンの閉じ込め効果により熱を輸送するフォノンモードが制限され、バルクの熱伝導度とは異なる値をもつが、申請課題による方法論により、原子レベルから理論的にナノワイヤの熱伝導特性を解析し、散乱機構の解明と熱伝導制御のための理論的指針を作成する。 また、原子レベルでの原子構造が大きく輸送特性に影響を与えるため、このことを第一原理電子状態による精密計算により解析した後に申請課題で発展させている熱伝導解析理論を適用する。そのために、第一原理電子状態計算によるナノワイヤの構造計算を担当する研究分担者を追加し、分担者の構造計算結果と連携して熱伝導解析を行い、熱伝導解析理論を発展させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
熱電変換の解析法などの予定を超えた理論的方法論の開発が進み、そのための数値計算プログラム作成に時間を費やしたことや、雇用予定であった補助者の候補者を得られなかったことにより、関連経費等の未使用額が生じた。 ナノワイヤの原子構造の詳細を解析するために、研究分担者に配分するとともに研究補助者を雇用し、そのための謝金や成果発表費として使用する。
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