研究概要 |
研究課題:金ナノ粒子触媒の膨張する界面の活性メカニズムの解明 金属ナノ粒子触媒の気体反応サイクルの促進メカニズムを探るため、チタニアに担持した金ナノ粒子の触媒(Au/TiO2)に反応ガス(CO, O2)を導入した環境で、構造や電子状態を調べた。その結果、O2を導入した時に新しい電子状態が出現することが、カソードルミネッセンス(CL)法の発光スペクトルによりわかった。新しい電子状態に起因する発光はCO, O2を同時に導入した場合は現れるが、COのみを導入した場合には出現しない。この発光は広いエネルギー領域(2.7~3.9eV)にわたっていて、チタニアのバンドギャップである3.0eVよりも高いエネルギーを多く含んでいる。高いエネルギーを持った発光は、チタニアの伝導帯と共鳴している活性酸素(負に帯電したO2分子,O2(-1))の電子状態に起因するのではないかと考えられる。触媒の反応に寄与する酸素(O2)雰囲気で出現する新しい電子状態は、金属ナノ粒子触媒や関連が深い光触媒の気体反応サイクルの促進メカニズムを解明する手がかりとなるのではないかと考えられる。 またAu/TiO2試料の各点でガス導入前のCLの発光スペクトルを取得し、エネルギー毎にCLマップを作成した。対応する走査型透過電子顕微鏡(STEM)像と比較すると、チタニアのバンドギャップに相当する3.0eVの強度は主に厚さに依存していることがわかる。発光スペクトルのピークエネルギーは2.5~3.1eVの範囲で試料の各点で変化した。ガス導入前の発光スペクトルは、バンド間の電子・ホール再結合に加え、局所的な表面近傍の欠陥等も関係しているのではないかと考えられる。このような局所的な電子状態分布の研究を進めることは活性領域の特定につながるのではないかと考えている。
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