平成25年度は、前年度の研究結果をもとにZrO2粒子上へのRuナノ粒子の担持とIrナノウールの担持を試みた。Ruナノ粒子の担持については成功しヒドラジンの効率的な反応状態を達成することが出来た。しかし更に高温で安定な触媒反応が期待されたIrナノウールはどうしてもZrO2粒子上に担持出来ず、分離してしまうためCVDに使用することが出来なかった。 さらにCVD装置内の改造を行いノズルとスキマーコーンの最適化を行い、サファイア基板上へのGaN膜堆積を安定に行うことが出来た。 しかし基板加熱の構造上から通常600℃までの加熱しか出来ず従来法である1000~1100℃での常圧MOCVD法で報告されている高品質なGaN膜の成長には至らなかった。ただヒドラジンを触媒反応で励起して生成した窒素プリカーサを用いて基板の窒化後、600℃で成長させたGaN膜から強いGaN(0002)面のX線回折ピークを観察し、明確なC軸配向膜が低温で成長出来た。 同じCVD装置を用い、ほぼ同じ反応時圧力でアンモニアを用いて成長させた場合、600℃では膜の成長を殆ど確認出来なかったことから、ヒドラジンを原料に触媒反応を用いた本成長手法は、窒化物半導体結晶薄膜の低温成長法として有用であるとこが分かった。
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