研究課題/領域番号 |
24656048
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉村 政志 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60314382)
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研究分担者 |
森 勇介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90252618)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 非線形光学 / 応用光学・量子工学 / 光源技術 / 先端機能デバイス / 量子エレクトロニクス |
研究概要 |
水素の誘導ラマン散乱励起用光源(波長185nm)の構築を目的として、紫外波長変換に用いる非線形光学結晶CsLiB6O10(以下CLBO)の結晶成長、及びその光学特性評価を行った。ビーム直径8mmの高強度レーザーを使用するため、紫外レーザー損傷耐性を高めるとともに、結晶の大型化も不可欠となり、結晶作製と波長変換に用いる専用光学セルの準備に取り組んだ。 CLBO結晶については、数値評価を元にした結晶内部の散乱欠陥の評価技術を確立させ、さらに紫外光経時劣化特性との因果関係を初めて明らかにした。結晶内部に一様に分布している微小欠陥(光路状のレイリー散乱として観察される)の低減が、高レーザー損傷耐性化に向けた最も重要な欠陥との知見を得た。また、紫外光経時劣化特性の強度依存性を測定し、CLBOを長期間安定に使える動作条件・環境を確立した。 高繰り返しレーザーを用いた真空紫外光源開発では、CLBOを用いた平均出力10mWの189nm光発生に成功し、さらにLBOによる179nm光発生も確認した。これらの波長変換研究を通して、185nm光発生に用いる光パラメトリック発振(OPO)のための非線形光学結晶、及び共振器ミラーの仕様、波長可変性に関する知見を得ることができた。 次年度、これらの光学部品を組み上げて高ピーク強度の185nm光源を構築するとともに、長波長(266nm, 213nm)励起での誘導ラマン散乱の試験を行いながら、励起光の短波長化と最終目標達成に向けた研究を加速させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
波長変換に用いるCLBO素子が市販で使われるものに比べて体積で約4倍と大型であり、3つの変換ステージで異なる方位素子を用意することになるため、CLBO結晶の品質と大型化を両立させる条件を見出し、実際に複数の結晶成長を行うのに想定以上の時間を要した。この間、CLBO結晶に関する研究開発は進んだが、誘導ラマン散乱実験用の光源を構築するに至らなかったため、研究がやや遅れている状況にある。光パラメトリック発振については、別のレーザー光源を用いることで、発振特性や波長可変特性を検討することができている。
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今後の研究の推進方策 |
高出力185nm光源の組み上げを加速させるとともに、185nm光源完成前に途中段階で出来上がる266nm、213nm光を励起源として、水素の誘導ラマン散乱実験を前倒しで実施する。この実験によりアンチストークス光の計測条件等を並行して検討しながら、185nm光源完成と同時に、最終目標の誘導ラマン散乱実験が行えるように準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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