研究課題
非線形光学結晶CLBOの180nm台の真空紫外光発生特性に着目し、これを活用した新しい光源開発を試みた。CLBOを用いた213nm光源から水素の誘導ラマン散乱(SRS)を励起すると、1次アンチストークス(AS)光として波長195.7nmが、最短波長として8次AS光(125nm)の発生が確認されていた。そこで先ず励起用185nm光源(213nmと1407nmの和周波発生)を構築し、次にそれを用いて水素SRSの最短波長真空紫外光発生を目指した。Nd:YAGレーザーω光(パルス繰り返し周波数:10Hz、パルスエネルギー:2J、ビーム直径:12mm)を用いるため、大型の波長変換素子が必要となる。2ω発生にはLBO素子を用い、後段の大型CLBO素子は独自に開発してきた育成法で単結晶を作製し、素子加工を行った。検証試験として、ビーム中央部直径8.7mmを切り出し、平均出力8.6Wのω光を用いて変換特性を調べた。2ω部では最大変換効率51%、2ωから4ωの変換効率はCLBOを用いて最大37%、4ωから5ω(213nm光)の最大変換効率はCLBOを用いて44%、平均出力0.75Wを得ることができた。ωからの変換効率は各段の効率を乗じて8.3%となり、ほぼ期待通りの効率が得られた。一方、1407nm光発生には、4ω発生後の残留2ω光を励起に使うKTP-OPOを選択した。赤外光820nmのシグナル共振、平行平板ミラー共振器では、2ω発生直後の出力2.3Wを使うと変換効率9%の200mW超の出力が得られるが、4ω変換後の残留光を利用する光学系では出力が150mWに低下し、後段の185nm光発生に至らなかった。この検討結果を踏まえ、期間終了後も185nm光源構築とSRSの研究開発を継続する予定である。
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