研究課題/領域番号 |
24656054
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡邉 紳一 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (10376535)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | テラヘルツ/赤外材料・素子 / 計測光学 / 画像 / リモートセンシング |
研究概要 |
本課題の目的は、研究代表者が発明した「回転検出結晶法」による高速・高精度テラヘルツ波偏光(偏波)分析装置を用いて、反射型高精度テラヘルツ「偏光」イメージング計測技術を開発することである。「偏光」情報の利用により、従来の「振幅」・「位相」の変化情報を利用したテラヘルツ・イメージング装置では捉えられなかった、表面の細かい凹凸などのイメージングを行うことが目標である。当初の研究計画では「平成24年度に装置系の開発、平成25年度に応用事例の提示」というスケジュールだったが、平成24年度末の段階で、応用事例の提示までできるほどハイスピードで研究が進行している。装置系の開発としては、時間約20分で3 cm×3 cmの空間領域のテラヘルツ電場ベクトルイメージングを可能にする光学系を構築した。応用事例としては、本イメージング計測装置を用いて物質表面の非接触凹凸観測を行った。凹凸のある試料表面に楕円偏光したテラヘルツ電磁波パルスを照射した場合、高さの違う2点から反射した電磁波の、ある決められた時刻における電場ベクトルの方向はそれぞれ異なる。この違いを精密電場ベクトル計測によって高精度計測することで試料の高さ情報を抽出する仕組みである。本手法により、既存技術の10倍の深さ分解能を持つ表面形状計測装置開発に成功した。本研究成果は産業界で大変大きな注目を集め、新聞主要紙に大きく取り上げられた。さらに、産業応用に適用しやすいように、小型の高繰り返しフェムト秒レーザーを用いた高速・高精度テラヘルツ波偏光分析装置を実現させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」で記したように、平成24年度末の段階ですでに平成25年度までの達成目標をほぼクリアしている。従って達成度は「当初の計画以上に進展している」である。
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今後の研究の推進方策 |
残された課題は、テラヘルツ電場ベクトルの時間波形を計測することでテラヘルツ偏光スペクトルイメージングを行うことである。技術的に困難な点は存在しないので、このまま研究を進めれば容易に達成できると考えられる。今年度はスペクトル情報を用いたテラヘルツ・エリプソメトリー・イメージング計測など、より高度なテラヘルツ偏光イメージング技術を開発していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に繰り越した研究費は、平成25年度においてテラヘルツ・スペクトルの高精度計測装置系構築のための光学部品の購入に充てる。
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