密度分布が制御可能で局在化したガス標的層を形成するために,超音速ミニチュア・ラバールノズル,ビーム標的室を模擬した真空容器,およびディフューザーで構成される試験装置を製作,超音速フリージェットの形成実験を行い,ノズルやディフューザー形状に対する有効マッハ数と圧力回復特性の変化を明らかにした。その結果,超音速のフリージェットは非常に散逸的で,圧力回復率は垂直衝撃波による回復を基準とした値の20%程度であり,定常的にガスジェットを形成するにはディフューザー形状を最適化することが非常に重要である事が明らかになった。 また,試験装置を用いた流体実験で得られた圧力特性は超音速ノズル内部での非平衡凝縮過程を反映していることを明らかにするとともに,凝縮核の成長をモデル化したシミュレーション結果との比較から半実験的に凝縮流を解析できる方法を提案した。提案した解析方法は,凝縮型クラスター生成実験の際にサイズ分布の予測や高フラックス化の指針を得るために有効であることを示した。 さらには,CO2レーザーを用いて標的ガスとレーザー相互作用実験を行った。その結果,μ秒級のパルス幅のCO2レーザー照射によって駆動されるガス標的中のプラズマは常にデトネーション状態(衝撃波とレーザーエネルギーの吸収領域が相互作用を行いながら高速に移動する状態)で進展すること,さらには金属標的が共存するとレーザーの吸収領域は,通常の衝撃波による進展モデルでは説明できない高速度でレーザー照射方向に移動することを明らかにした。
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