研究課題/領域番号 |
24656064
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前畑 京介 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30190317)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線 |
研究概要 |
目的:次世代の高エネルギー分解能放射線検出器として誘電体を温度計とするマイクロカロリーメータを提案している。誘電体マイクロカロリーメータの実現には、1K 以下の超低温領域において、誘電体温度計の静電容量 C と温度 T の関係から得られる性能指標 d lnC /d lnT の値が1 程度となる必要がある。本研究では、数K 以下の極低温において C が T によらず一定の高い値を保持する様々な量子常誘電体試料に、適当な不純物を添加することで、数K 以下の温度において強誘電相が誘起した量子強誘電体へ相転移し、誘電体温度計性能指標 d lnC /d lnT > 1を有する物質を探索し、量子強誘電体への相転移制御法へと発展させる。1K 以下の温度領域において d lnC /d lnT > 1を示す量子強誘電体を温度計とするマイクロカロリーメータを試作し、ガンマ線検出動作を実証する。 平成24年度の成果 [量子強誘電性への相転移温度]と[同位体や不純物の添加分量や単結晶性等、試料作製の際に制御できるパラメータ]との関係を整理した。不純物を添加より量子常誘電体が量子強誘電体へ相転移する条件を調べ、誘電体温度計の候補材料を決定した。高精度LCR メータの4端子対法により1K 以下の超低温に冷却した誘電体試料の静電容量システムを構築し、不純物を添加より量子常誘電体が量子強誘電体へ相転移することが期待される試料について、静電容量の温度依存性を測定した。測定で得られた誘電体温度計の性能指標性能指標dlnCd/dlnTの値が大きい組成を有する誘電体を温度計とするマイクロカロリーメータを試作し、ガンマ線検出実験を実施した。ガンマ線検出信号を観測したが、検出信号波高値が雑音と同じレベルであり、応答特性の解析を行うことが出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[量子強誘電性への相転移温度]と[同位体や不純物の添加分量や単結晶性等、試料作製の際に制御できるパラメータ]との関係を整理した。不純物を添加より量子常誘電体が量子強誘電体へ相転移する条件を調べ、誘電体温度計の候補材料を決定することができた。 高精度LCR メータの4端子対法により1K 以下の超低温に冷却した誘電体試料の静電容量システムを構築し、不純物を添加より量子常誘電体が量子強誘電体へ相転移することが期待される試料について、静電容量の温度依存性を測定することができた。 測定で得られた誘電体温度計の性能指標性能指標dlnCd/dlnTの値が大きい組成を有する誘電体を温度計とするマイクロカロリーメータを試作することができた。
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今後の研究の推進方策 |
誘電体試料作製:前年度作製した試料の静電容量測定結果を分析し、誘電体温度計の性能指数条件dlnCd/dlnT >1が期待される誘電体試料を作製する。 サブK 温度領域における静電容量測定:前年度と同様に作製した誘電体材料を超低温領域に冷却し温度と静電容量を測定し、超低温領域における温度と静電容量の関係を測定し、誘電体温度計の性能指標dlnCd/dlnTの値を評価する。 ガンマ線に対する応答特性測定:前年度と誘電体を温度計とするマイクロカロリーメータを試作し、ガンマ線に対する応答特性を測定する。さらに、半導体検出器用電荷有感型前置増幅器を使用して、ガンマ線検出信号検出実験を行い、誘電体マイクロカロリーメータの動作を実証する。 誘電体温度計設計法構築:超低温領域における静電容量の測定値と、マイクロカロリーメータとして動作させた誘電体マイクロチップのガンマ線に対する応答特性の結果から誘電体温度計設計法を構築する。 量子強誘電体を温度計とするマイクロカロリーメータに関して得られた結果を取りまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に必要な電子回路部品費や金属材料費として使用する。
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