次世代の高エネルギー分解能放射線検出器として誘電体を温度計とするマイクロカロリーメータを提案している。誘電体マイクロカロリーメータの実現には、1K以下の超低温領域において、誘電体温度計の静電容量 と温度 の関係から得られる性能指標の値が1 程度となる必要がある。本研究では、数K以下の温度において不純物が添加された量子常誘電体が量子強誘電体へ相転移することに着目し、誘電体温度計性能指標の値が1を超える物質を探索するために、[量子強誘電性への相転移温度]と[同位体や不純物の添加分量や単結晶性等、試料作製の際に制御できるパラメータ]との関係を整理し、誘電体温度計の候補材料を決定した。高精度LCRメータの4端子対法により1K以下の超低温に冷却した誘電体試料の静電容量システムを構築し、誘電体温度計の候補材料試料について、静電容量の温度依存性を測定した。測定で得られた誘電体温度計性能指標性能指標の値が大きい誘電体試料を温度計とするマイクロカロリーメータを試作した。試作した誘電体温度計マイクロカロリーメータのガンマ線検出実験を実施した。ガンマ線検出信号を観測したが、検出信号波高値が雑音と同じレベルであり、詳細な応答特性の解析を行うことが出来なかった。しかし、1K以下の超低温において、試作した誘電体温度計マイクロカロリーメータの実効的熱容量を緩和法を用いて測定し、ガンマ線に対する応答特性のモデルを構築するためのデータを取得することが出来た。
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