研究課題/領域番号 |
24656074
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
樫山 和男 中央大学, 理工学部, 教授 (10194721)
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研究分担者 |
野村 卓史 日本大学, 理工学部, 教授 (50126281)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 道路騒音 / 可聴化 / 可視化 / 幾何音響理論 / 波動音響理論 |
研究概要 |
本研究は,都市域における音環境問題として道路交通騒音(主に車両の走行音)に着目して、道路やその周辺の構造物の新設・改変に起因する音環境の事前評価・事後分析等に供し得る騒音評価システムの開発を目的とするものである。平成25年度は、下記の研究項目1~3について実施した。 1.幾何音響理論に基づく騒音シミュレーション手法の改良:前年度に開発した幾何音響理論(騒音予測モデルASJ2008(日本音響学会)に基づく手法の改良と実装を行った。具体的には、複雑な道路周辺環境に適用可能とするため、ASJ2008では考慮できない多重反射を考慮可能とした。また、トンネル構造および高架構造上の走行を可能とした。 2.波動音響理論に基づく騒音シミュレーション手法の改良:前年度に開発した差分法(CIP法)を用いた波動音響理論に基づく手法の改良を行った。具体的には、解の変化が大きい部分のメッシュを細分化するAMR(Adaptive Mesh Refinement)法の改良を行い、計算効率の向上を実現するとともに、妥当性の検証を行った。また、差分法では計算時間および計算機容量の増大が著しいことが判明したため、当初計画になかった境界要素法に基づく手法の構築に着手し、理論解や他の数値解析結果との比較により妥当性の検証を行った。 3.バーチャルリアリティ空間における可聴化システムの改良:前年度に開発した可聴化システムは、立体音響の実現においてハードウェアに依存したものとなっていたため、音源の数に制限があった。本年度は、この部分を完全にソフトウェア化することで、音源の数の制約を解除し、多数の車列や車種の走行シミュレーションを可能とした。また、中型・小型トラックおよびバイクについて、国総研試験走行路においてサンプル音の採取と騒音の計測を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者との連携のもとに、ほぼ当初の計画案どおりに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は、システム全体の適用と評価・改良を行う。上半期においては比較的システムを小規模で理想的な問題に適用して、システム全体の妥当性の検討を行い、下半期においては、大規模でかつ実際に測定が行われている場所に適用して本システムの妥当性及び有効性を検討する。また、騒音とストレスとの因果関係を調べるために、システム利用者(被験者)がどのような心理状態になるかを調べるため、被験者の脳波の計測等を行う予定である。
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